ヒマリア (衛星)

ヒマリア：木星最大の不規則衛星

ヒマリア(Jupiter VI Himalia)は、木星を周回する衛星の一つであり、2018年までに発見された木星の衛星の中では11番目に内側の軌道を回っています。木星の衛星全体としては6番目の大きさであり、木星の不規則衛星としては最大であるという特徴を持っています。さらに、ヒマリアは「ヒマリア群」と呼ばれる、似たような軌道を持つ衛星の集団の中心的な存在でもあります。

発見と観測の歴史

ヒマリアは、1904年、チャールズ・ディロン・パーラインによってリック天文台で発見されました。発見は翌1905年に公表されました。発見からしばらくの間は、詳細な観測が困難でしたが、2000年には土星探査機カッシーニが、土星へ向かう途中にヒマリアの画像を撮影しました。しかし、距離が遠かったため、画像の解像度は低く、地表の詳細は分からず、2007年にはニュー・ホライズンズ探査機もヒマリアを撮影したものの、これも数ピクセルの画像に留まりました。

名称の由来と選定

ヒマリアという名前は、ギリシャ神話に登場する[ゼウス]]の愛人であり、3人の息子を産んだニュンペー]に由来しています。発見から命名までには長い年月がかかり、正式に命名されたのは[[1975年のことで、それ以前はJupiter VIと呼ばれていました。命名過程では、ヘスティアという名称も提案されていましたが、最終的にはヒマリアに決定されました。

軌道とヒマリア群

ヒマリアは木星から約1150万キロメートル離れた軌道を、約251日かけて公転しています。このヒマリアの軌道付近には、軌道要素が類似した複数の衛星が存在しており、それらの衛星群をまとめて「ヒマリア群」と呼んでいます。ヒマリア群の衛星は、木星からの距離が1140万キロメートルから1300万キロメートルの範囲に分布し、軌道の傾斜角は約27.5度です。ヒマリアは、このヒマリア群の中で最も大きな衛星です。

物理的特徴

ヒマリアの自転周期は約7時間46分55秒と測定されています。表面の色は灰色がかっており、C型小惑星と類似した分光学的特徴を示します。カッシーニ探査機による近赤外線観測では、表面に特徴的な模様は見られず、3マイクロメートルの波長で水の存在を示唆するわずかな吸収が検出されています。

地上観測と探査機による観測から、ヒマリアの直径は約170キロメートル（半径約85キロメートル）と推定されています。質量については、平均密度を2.6g/cm³と仮定した推定値と、他の衛星との接近時の重力摂動から推定された値があり、両者には差が見られます。ジェット推進研究所による推定では、質量は約6.7×10¹⁸kgとされていますが、他の衛星との接近時の重力摂動から推定された質量は約4.2×10¹⁸kgです。これらの値は、ヒマリアの内部構造や組成に関する更なる研究が必要であることを示唆しています。ヒマリアの観測は、今後も継続的に行われ、その謎が解き明かされることが期待されています。

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