ヒミズ

ヒミズ（日不見、日見ず）

ヒミズ（学名：Urotrichus talpoides）は、モグラ科に属する日本固有の哺乳類です。その名前が示すように、普段はあまり人目に触れることのない、ひっそりと生活する動物です。

分布

ヒミズは、本州、四国、九州とその周辺の島々に広く分布しています。日本国内でのみ見られる固有種であり、その生息範囲は比較的広いです。

形態

ヒミズは、モグラの仲間としては小型で、頭胴長は89mmから104mm、尾長は27mmから38mm、後足長は13.8mmから16mm、体重は14.5gから25.5g程度です。一般的なモグラと比較すると、体は小さく、長い尾を持っているのが特徴です。土を掘るために使われる前足は、モグラほど大きくはありません。体毛は、背中側が黒色か黒褐色で光沢があり、腹側はやや淡い色をしています。尾は太く、棍棒のような形状で、頭胴長の約3分の1の長さがあります。尾の先端にはブラシ状の毛が生えていますが、根元部分はピンク色の皮膚が露出しています。尾の骨は癒合して一本の骨のようになっているのも特徴です。また、上顎の第一切歯は非常に大きく、先端が尖っています。

生態

ヒミズは、低山帯の森林や草原の落ち葉の下に生息しています。他のモグラのように大きな塚を作ることはなく、落ち葉の下に浅い溝のような巣穴を掘って生活します。夜行性で、夜になると地表を歩き回る姿が見られます。地上を徘徊することもありますが、日中は日光が当たる場所には出てきません。この習性から「日見ず」という和名が付けられました。食性は雑食性で、昆虫類、クモ、ムカデ、ミミズなどの小型土壌動物、植物の種子や果実などを食べます。また、小麦粉や大豆、大麦などでも捕獲できることがあります。

天敵としては、ニホンアナグマ、テン、イノシシ、トビ、フクロウ、モズ、ジムグリなどが挙げられます。しかし、死んだヒミズは臭いが強いため、死骸を食べる動物は少ないと言われています。繁殖期は春ですが、一部の個体は秋にも繁殖します。一度に1頭から6頭の子供を産み、寿命は約3年です。

近縁種

近縁種としては、ヒメヒミズ（Dymecodon pilirostris）がいます。ヒメヒミズも本州、四国、九州に分布していますが、生息場所は標高の高い山地に限られています。これは、ヒミズとの競合の結果、ヒミズが生息できないような山地に追いやられたと考えられています。

関連項目

• - 哺乳類一覧'>日本の哺乳類一覧

出典

参考文献

• - 小宮輝之『日本の哺乳類』（増補改訂版）学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2010年、101頁。ISBN 978-4-05-404437-1。
• - 阿部 永 著、阿部 永 監修 編『日本の哺乳類』（改訂2版）東海大学出版会、2008年、18頁。ISBN 978-4-486-01802-5。
• - 今泉吉典『原色日本哺乳類図鑑』保育社、1960年、39頁。ISBN 978-4-586-30007-5。

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