ヒュー・チルダース

ヒュー・カリング・アードレイ・チルダース：イギリスとオーストラリアの政治家

ヒュー・カリング・アードレイ・チルダース（Hugh Culling Eardley Childers, 1827年6月25日 - 1896年1月29日）は、イギリスとオーストラリアの政界で重要な役割を果たした政治家です。彼は自由党に所属し、ヴィクトリア朝時代の自由党政権下で様々な閣僚職を歴任しました。

生涯と経歴

チルダースは1827年にロンドンで生まれ、教育を受けました。オックスフォード大学とケンブリッジ大学で学び、1850年にケンブリッジ大学トリニティ・カレッジを卒業しました。同年、結婚後すぐにオーストラリアのメルボルンへ派遣され、公務に携わります。

オーストラリアでの活躍

メルボルンでは、宗派経営学校監督官や国立学校委員長を務め、その後、メルボルン、マウント・アレクサンダー、マレー・リバー鉄道会社の社長に就任するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。1852年にはビクトリア州監査総監および上院議員に就任。メルボルン大学の創設にも尽力し、初代副学長を務めました。1857年にはビクトリア州総代理官としてロンドンへ帰国し、鉄道融資の交渉を担当しました。

イギリス政界へ

1859年にロンドンのリンカーン法曹院に入学し、1860年から1885年までポンテフラクト選挙区選出の庶民院議員を務めました。自由党に所属し、第2次パーマストン子爵内閣と第2次ラッセル伯爵内閣で海軍省民政長官や財務省金融長官を歴任。第1次グラッドストン内閣では、1868年から1871年まで海軍大臣を務め、海軍力の近代化を推進しました。具体的には、木造艦の破棄を進めつつ、鉄製装甲艦の増強を図りました。体調不良により一時辞任しましたが、1872年から1873年にはランカスター公領大臣として再入閣しました。

その後

第2次グラッドストン内閣では、1880年から1882年まで陸軍大臣を務めました。エジプトで発生したオラービー革命鎮圧のためのエジプト出兵では、陸軍大臣としてその戦争指導にあたりました。1882年から1885年には財務大臣を務め、スーダンでのマフディーの反乱をめぐる閣内論争では、当初は態度を曖昧にしていましたが、後に派兵賛成へと立場を転換しました。

1885年の総選挙で落選した後、1886年の第3次グラッドストン内閣で内務大臣として入閣し、アイルランド自治法案に協力しました。同法案否決後の総選挙では南エディンバラ選挙区から当選。1892年に議員生活から退き、1894年から1896年までアイルランド財政問題委員会の議長を務めました。1896年1月29日にロンドンで死去。

栄典と家族

チルダースは、1858年に王立地理学会フェロー、1868年に枢密顧問官、1873年に王立協会フェローに選出されました。1850年にエミリー・ウォーカーと結婚し、4人の息子と2人の娘をもうけましたが、1875年に妻と死別。1879年にキャサリン・ギルバートと再婚しました。娘の一人は画家として知られるミリー・チルダースです。

チルダースは、オーストラリアとイギリスという異なる環境で、政治家として多岐にわたる分野で貢献しました。彼の政策は、現代においても研究の対象となっています。

もう一度検索