ヒルナンシアン

ヒルナンシアン期

ヒルナンシアン（Hirnantian）は、オルドビス紀の最終期であり、約4億4520万年前から4億4380万年前にあたる時代を指します。この時期は拡大した氷床によって特徴付けられており、特に南極周辺に位置するゴンドワナ大陸では、氷床の存在が確認されたことが示しています。日本語では「ヒルナント期」とも呼ばれています。

命名と歴史

ヒルナンシアンという名称は、1933年に地質学者B・B・バンクロフトによって提唱されました。この時、ヒルナンシアン階にはヒルナント石灰岩やそれに関連する堆積層が含まれ、オルドビス系のほぼ最上部に位置していました。この層には、腕足動物や三葉虫など、硬い外骨格を持つ生物が豊富に見られました。

1966年には、D・A・バサットとその仲間たちによってヒルナンシアン階の区分が調整され、ヒルナント石灰岩に加えてFoel-y-Ddinas泥岩も含まれるようになりました。この調整を経て、ヒルナンシアン階は現在の範囲に達しました。

国際層序委員会（ICS）は、当初オルドビス紀の上部を2つの階に分けていましたが、詳細な研究によってその後、動物相を基にして階の数を調整する必要があることが明らかになりました。2003年にはヒルナンシアン階が正式に命名され、2006年には王家湾村セクションがその公式国際標準模式層断面（GSSP）に選定されたのです。

GSSP

ヒルナンシアン階のGSSPは、中国湖北省宜昌市の王家湾村に位置し、五峰累層における露頭で確認されています。基底部はヒルナンシアン階の基準が含まれており、主に頁岩とチャートで構成されています。また、基底はフデイシの種 Normalograptus extraordinarius の最初の出現によって定義されています。加えて、別の化石としてNormalograptus ojsuensiが層の下部から、そしてHirnantianフォーナが上部から確認され、これが二次的な示準化石とされています。

出来事

この時期には、オルドビス紀末の大量絶滅の事件が二度にわたって発生しました。一度目の絶滅はヒルナンシアンの初頭に見られ、氷床の形成に関連した海退と同時期に発生しました。二度目は中期に見られ、氷床の融解に伴う海進が原因とされています。これにより、フデイシや他の底性生物が大きな影響を受けました。

2020年の研究によると、中国の境界面においてオルドビス紀末の大量絶滅は約20万年の間に発生したとされています。この大量絶滅の原因については、海洋の富栄養化や火山活動によって高濃度の水銀が放出されたことによるものと考えられています。一部の研究者は、超新星爆発に由来するガンマ線バーストが原因となった可能性も示唆しています。

地層の分布

ヒルナンシアンに関連する地層はスウェーデンのダーラナ県でも見つかっており、そこからは特徴的な三葉虫や腕足動物の化石が産出しています。また、中国貴州省の紅花園セクションでは、層厚16メートルの記録があり、この地域での堆積速度が最も速いことが示されているのです。これらの研究結果は、オルドビス紀からシルル紀の境界における炭素同位体比の変化との関連性を探る際にも重要です。

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