ビューレイスト

ビューレイストは、北欧神話においてロキの兄弟として言及されるものの、その詳細についてはほとんど知られていない謎めいた存在です。

文献における記述

スノッリ・ストゥルルソンが著した『ギュルヴィたぶらかし』の第34章において、ロキの兄弟としてビューレイストとヘルブリンディの名前が挙げられています。また、『巫女の予言』第51スタンザ、『ヒュンドラの歌』第40スタンザ、『詩語法』第16章などの北欧神話の原典では、ロキのケニング（詩的な異名）として「ビューレイストの兄弟」という表現が用いられています。

これらの記述から、ビューレイストがロキと何らかの血縁関係にあったことは確かであると考えられますが、それ以上の情報は乏しく、彼の性格、能力、神話における具体的な役割などは不明のままです。

名前に関する考察

ビューレイストの名前の語源については、いくつかの説が存在します。一説によれば、bylr（「風」の意味）と -leiptr（「雷光」の意味）の合成語であり、「嵐の中で稲光を生む者」といった意味合いを持つ可能性があるとされています。もしこの説が正しければ、ビューレイストは嵐や雷といった自然現象と関連付けられた神であったのかもしれません。

しかし、現存する文献からは、彼の名前の由来や意味を確定づけるだけの十分な証拠は見つかっていません。

まとめ

ビューレイストは、北欧神話においてロキの兄弟として言及されるものの、その実態はほとんど謎に包まれています。わずかな文献の記述と名前の語源に関する推測から、彼の存在を垣間見ることしかできません。今後の研究によって、ビューレイストに関する新たな発見があることが期待されます。

参考文献

V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。
谷口幸男「スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』第43巻No.特輯号3、1983年。
* Simek, Rudolf (2007) translated by Angela Hall. Dictionary of Northern Mythology. D.S. Brewer ISBN 0859915131.

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