ビル・マゼロスキー

ウィリアム・スタンリー・マゼロスキーの栄光の軌跡

ウィリアム・スタンリー・マゼロスキー（William Stanley Mazeroski）は、1936年9月5日にアメリカのウェストバージニア州ホイーリングに生まれた。彼は1960年代から1970年代初期にかけて、ピッツバーグ・パイレーツで活躍した元プロ野球選手であり、そのポジションは二塁手である。マゼロスキーは「Maz（マズ）」という愛称で親しまれ、彼の卓越した守備力と打撃の技術で多くのファンを魅了した。

現役時代のキャリア

マゼロスキーは1954年に17歳でピッツバーグ・パイレーツとの契約を結び、1956年7月にはメジャーデビューを果たす。彼はすぐにレギュラーに定着し、1958年には初のオールスター出場を果たすとともに、最初のゴールドグラブ賞も手に入れた。その年、打率は.275で19本の本塁打、68打点を記録し、ナショナルリーグのMVP投票でも8位にランクインした。また、通算守備率は.983という数値を残し、8回のナショナルリーグゴールドグラブ賞にも輝いた。さらに、マゼロスキーはMLB歴代記録となる1706回の併殺に参加した。

マゼロスキーの守備は「ザ・グローブ」と評価され、17年間のキャリアの中で3つのグローブしか使用しなかったと言われている。彼のグローブは非常にくたびれていたため、チームメイトから「パンケーキ」とからかわれることもあった。また、ある時にはチームメイトのジョークでグローブにバターとシロップを塗られたこともあり、その後修理して再使用した。

1960年、マゼロスキーはチームと共にワールドシリーズに出場。対戦相手はニューヨーク・ヤンキースで、シリーズは3勝3敗の均衡を迎えた。第7戦では、序盤にパイレーツが4点をリードするも、ヤンキースが逆転し、逆に試合は緊迫した展開となった。最終的には9回裏にマゼロスキーがサヨナラ本塁打を放ち、パイレーツが4勝3敗でヤンキースを破る歴史的瞬間を生み出した。このホームランは、ワールドシリーズ最終戦における初のサヨナラ本塁打として今なお語り継がれている。この時のボールはファンがキャッチし、彼と交換でビール2ケースが渡され、その後アメリカ野球殿堂に展示されている。

マゼロスキーはその後も1966年に最多82打点を記録するなど、選手として活躍。1971年には自身2度目のワールドチャンピオンに輝いた。しかし、1969年以降は出場機会が減少し、1972年に現役を引退した。

引退後の人生

選手を引退した後もマゼロスキーは野球界に影響を与え続けた。1987年には彼の背番号「9」がパイレーツの永久欠番に指定され、その功績が称えられた。2001年、マゼロスキーはベテランズ委員会の選考によりアメリカ野球殿堂入りを果たし、その名声は不朽のものとなった。

現代においても、彼は古巣パイレーツの特別アドバイザーとして活動し、スプリングトレーニングで若手選手の指導にあたっている。また、2023年現在、彼はパイレーツの永久欠番選手の中で唯一の生存者であり、その存在は球団の歴史において重要な位置を占めている。マゼロスキーの物語は、彼の卓越した能力と独自のキャラクターを通じて、今後も多くの人々に知られていくだろう。

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