ビワモドキ亜綱

ビワモドキ亜綱とは

ビワモドキ亜綱（Dilleniidae）は、かつて被子植物の分類に用いられていた下位分類群の一つです。亜綱という階級に位置づけられ、ビワモドキ科を必ず含んでいることが特徴ですが、それ以外の科の構成は分類体系によって異なっていました。特に、クロンキスト体系においてこの名前が使用されていたことで知られています。

クロンキスト体系におけるビワモドキ亜綱

クロンキスト体系では、ビワモドキ亜綱はモクレン綱の中に位置づけられていました。具体的には、以下の目が含まれていました。

ビワモドキ目 (Dilleniales)
ツバキ目 (Theales)
アオイ目 (Malvales)
サガリバナ目 (Lecythidales)
ウツボカズラ目 (Nepenthales)
スミレ目 (Violales)
ヤナギ目 (Salicales)
フウチョウソウ目 (Capparales)
バティス目 (Batales)
ツツジ目 (Ericales)
イワウメ目 (Diapensales)
カキノキ目 (Ebenales)
サクラソウ目 (Primulales)

これらの目は、形態的な特徴に基づいてまとめられていましたが、後の分子系統学的な研究によって、このグループが単一の系統ではないことが明らかになりました。

APG体系における扱い

近年の分子系統学の研究結果に基づいたAPG植物分類体系では、ビワモドキ亜綱という分類群は使用されていません。これは、ビワモドキ亜綱に含まれていた植物群が多系統であることが判明したためです。APG体系では、目よりも上位の分類群に伝統的な階級名を使用しないため、ビワモドキ亜綱は解体され、その構成要素は真正双子葉植物のバラ類（rosids）やキク類（asterids）といった異なる系統群に分散して所属することになりました。

この変化は、植物の進化系統に関する理解が進んだ結果であり、分類体系が常に最新の科学的知見に基づいて更新されることを示しています。ビワモドキ亜綱の例は、形態的な特徴に基づく分類が、必ずしも進化的な関係を正確に反映しているとは限らないことを示唆しています。

まとめ

ビワモドキ亜綱は、かつては植物分類において重要な役割を果たしていましたが、分子系統学の発展により、その分類学的意義は失われました。クロンキスト体系のような古い分類体系を理解する上で、ビワモドキ亜綱の知識は役立ちますが、現代の植物分類においては、APG体系に基づく分類が主流となっています。

参考文献

清水建美（監修）「植物分類表」『植物の世界』 創刊号別冊付録「植物用語集＋植物分類表」〈週刊朝日百科〉、1994年。

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