ピアノ協奏曲第2番 (ショスタコーヴィチ)

楽曲解説

ドミートリイ・ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番ヘ長調作品102は、ソビエト連邦の作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチによって1957年に書かれた、彼の創作した2つのピアノ協奏曲のうちの後期の作品です。

概要

ショスタコーヴィチの協奏曲の中でも、このピアノ協奏曲第2番はヴァイオリン協奏曲やチェロ協奏曲に見られるようなシリアスな雰囲気とは異なり、全体にわたって明るく、快活で遊び心に満ちた性格を持っています。この作品は、作曲当時、モスクワ音楽院でピアノを専攻していた作曲家の息子、マクシム・ショスタコーヴィチ（後に著名な指揮者となる）のために書かれ、彼に献呈されました。マクシムはこの作品を卒業制作の演奏会で初演したと伝えられています。

作品の初演は、作曲が完了した年の1957年5月10日、モスクワにて行われました。ソロ・ピアニストは献呈を受けたマクシム自身が務め、ニコライ・アノーソフの指揮、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で行われました。作品はその親しみやすさから人気を博し、作曲者自身もピアニストとしてしばしばこの協奏曲を演奏しています。

楽曲には、音楽的な引用やパロディらしき要素が随所に織り込まれており、特に第3楽章ではピアノの基本的な練習曲として知られるシャルル＝ルイ・ハノンの特定のフレーズが用いられていることが特徴的です。このことは、ピアノを学ぶ息子への父からのユーモラスなメッセージとも解釈されています。

楽曲構成

この協奏曲は、以下の3つの楽章で構成されています。伝統的な急-緩-急の形式をとっています。

第1楽章： Allegro（アレグロ）
第2楽章： Andante（アンダンテ）
第3楽章： （Allegro）（アレグロ）

編成

この作品は、ピアノ独奏とオーケストラのために書かれています。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番がピアノ、トランペット、弦楽合奏という比較的特殊な編成であるのに対し、第2番ではより一般的な二管編成が採用されています。ただし、この作品のオーケストラにはトランペットは含まれていません。

具体的な楽器編成は以下の通りです。

ピアノ独奏
木管楽器
ピッコロ1
フルート2
オーボエ2
クラリネット2
ファゴット2
金管楽器
ホルン4
打楽器
ティンパニ
小太鼓（これらの打楽器は一人の奏者によって演奏されます）
弦楽器
第1ヴァイオリン
第2ヴァイオリン
ヴィオラ
チェロ
* コントラバス

この編成が生み出す透明感と色彩豊かな響きが、作品の軽妙な性格を際立たせています。

その他

ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番は、クラシック音楽の世界に留まらず、広く知られる機会を得ました。特に、1999年に公開されたウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作のアニメーション映画『ファンタジア2000』において、この作品が使用されています。映画の中で、第1楽章がハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話「すずの兵隊」に基づくアニメーション短編の背景音楽として採用され、作品のリズミカルで物語性豊かな魅力が視覚的に表現されました。

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