ピットフォール (Pitfall!):ジャングルを駆け抜ける冒険
『ピットフォール』は、1982年にアメリカの
アクティビジョン社から発売された
Atari 2600用の
アクションゲームです。プレイヤーは探検家ハリー(Pitfall Harry)を操作し、ジャングルを舞台に様々な障害物や敵を避けながら、制限時間内に財宝を集めることを目指します。
ゲーム概要
- - 舞台: ジャングル
- - 視点: 2Dサイドビュー
- - 操作: レバーによる左右移動、ハシゴの昇降、ボタンによるジャンプ
- - 特徴: 画面スクロールは無く、主人公が画面端に達すると次の画面に切り替わる。敵を攻撃する手段は無く、かわすことが重要。
シンプルながらも奥深いゲームシステムで、プレイヤーはタイミングを見計らってジャンプしたり、ツタを使って川を渡ったりします。敵を攻撃する手段がないため、いかに敵をうまく回避するかが、このゲームの鍵となっています。
歴史的な意義
『ピットフォール』は、
Atari 2600の
キラーソフトの一つとして知られ、『
スーパーマリオブラザーズ』(
1985年)が登場するまで、世界で最も売れた
アクションゲームでした。その売り上げは400万本を超え、
Atari 2600用ゲームとしては『
パックマン』に次ぐ第2位の売り上げを記録しています。
このゲームの成功は、後の
アクションゲームに大きな影響を与え、多くの機種に移植されるなど、その人気は衰えることを知りません。2000年代以降も、同名のシリーズ作品が作られており、現在でもその魅力は色褪せていません。
開発の裏側
本作の開発者であるデヴィッド・クレーンは、アタリを退社し、史上初のサードパーティーとなる
アクティビジョンを立ち上げました。アタリ時代に開発環境が悪化したことが、彼が独立するきっかけとなりました。
クレーンは、当時の
Atari 2600用ソフトの多くが戦車や飛行機を題材にしていることに着目し、人間をキャラクターにして動きをつけるというアイデアを思いつきました。彼は、方眼紙にゲームのメイン画面を描きながら、わずか10分足らずで企画書を完成させました。
開発に当たっては、
Atari 2600のメインメモリが128バイト、プログラムカセットの容量が4キロバイトという制約の中で、メモリの節約に知恵を絞りました。主人公ハリーのグラフィックは、頭・胴体・足に3色を割り当てることで表現しました。当初、本作は『ジャングルランナー』というタイトルで発売される予定でしたが、マーケティングスタッフの反対により、『ピットフォール』という名前に変更されました。
ストーリー:ピットフォール3D
『ピットフォール3D』では、舞台を異次元に移し、モク族の住む街シェンラックを支配する”スカージ”という人物が登場します。スカージに対抗するため、族長の娘ミラは冒険家ハリー・ジュニアと共に”ブルー・ルーセンス”を探す冒険へと旅立ちます。この作品は、従来のシリーズとは異なるストーリー展開が特徴です。
他機種版と評価
『ピットフォール』は、
Atari 2600以外にも、多くの機種に移植されました。それぞれの機種で、グラフィックや操作性などが異なり、様々な形で楽しむことができます。
本作は、当時のゲーム業界に大きな影響を与えた作品として、高い評価を受けています。そのゲーム性と革新的なアイデアは、今なお多くのゲームファンに愛されています。
続編・リメイク
『ピットフォール』は、数多くの続編やリメイク作品が制作されています。以下に代表的な作品を挙げます。
- - ピットフォールII 失われた洞窟 (1984年): 縦横に広がる迷路のような洞窟や地底湖、風船などが追加された続編。Atari2600とMSXでリリース。
- - ピットフォールII (1985年): セガによるアーケードおよびSG-1000移植版。アーケード版はステージ制で、より反射神経が求められる。
- - スーパーピットフォール (1986年): ファミリーコンピュータ版は、拳銃で攻撃できるなど、オリジナルとは大幅に異なる。
- - ピットフォール マヤの大冒険 (1994年): スーパーファミコン、メガドライブなどでリリース。シリーズ初のアクションゲーム。
- - ピットフォール3D (1998年): PlayStation向けに3D化された作品。
- - ピットフォールGB (1998年): ゲームボーイカラー向けに制作された作品。
- - Pitfall: The Lost Expedition (2004年): PlayStation 2、Xboxなどでリリースされた作品。ボードゲームも存在する。
- - ピットフォール (2012年): iOS、Android向けの3Dリメイク版。
まとめ
『ピットフォール』は、シンプルながらも奥深いゲーム性と、開発者の革新的なアイデアによって、当時のゲーム業界に大きな影響を与えた作品です。その人気は衰えることなく、今もなお多くのファンに愛され続けています。