ピツフィク宇宙軍基地

ピツフィク宇宙軍基地（Pituffik Space Base）は、グリーンランドの北西部、カーナークの未編入地域に所在するアメリカ宇宙軍の基地です。北緯76度32分、西経68度42分に位置し、北極点からわずか1,500kmしか離れていない、アメリカ宇宙軍の基地としては最も北に位置する基地です。以前はチューレ空軍基地（Thule Air Base）と呼ばれていましたが、2023年4月に現在の名称に変更されました。

歴史

アメリカ軍がグリーンランドに基地を設置したのは、第二次世界大戦中の1941年のことです。デンマーク本国がドイツ軍に占領されたことを受け、アメリカ軍がグリーンランドを保護したことがきっかけでした。戦中から戦後にかけて、チューレは気象観測基地として機能し、小規模な滑走路も設置されていました。

1950年11月、アメリカ空軍はチューレに爆撃機用の基地を建設する計画を決定し、1951年6月にはグリーンランドがNATOの防衛担当地域となりました。冷戦時代には、ソ連とアメリカの最短経路が北極を経由することから、北極圏に位置するグリーンランドは軍事的に非常に重要な場所でした。チューレ基地は、ソ連への爆撃機の出発地や経由地として、またソ連の爆撃機を迎撃する場所として戦略的な役割を担いました。

チューレ空軍基地の建設は、1951年7月に秘密裏に開始され、1953年にはほぼ完成しました。基地の主要部分は1951年の夏に完成し、150以上の建物が建設されました。1953年から1959年にかけては、戦略航空軍団のB-36やB-47爆撃機、KC-97空中給油機などが配備されました。1961年には弾道ミサイル早期警戒システム（BMEWS）のレーダーが設置され、1960年代前半がチューレ基地が最も活発だった時期であり、配置された人員は1万人を超えました。その後、基地は縮小され、1968年には常駐人員は約3,370人に減少しました。

管轄の変遷

基地の管轄は、1952年1月には北東航空軍団（NEAC）でしたが、1957年に戦略航空軍団（SAC）、1960年に防空軍団（ADC）へと移管され、1982年以降は空軍宇宙軍団（Air Force Space Command）の管轄となっていました。アメリカ宇宙軍の創設後は、基地および所属部隊は宇宙軍へと移管されました。

現在の任務

現在のピツフィク宇宙軍基地は、宇宙作戦軍団第12宇宙警戒中隊によるICBMなどの弾道ミサイル警戒任務と、第23宇宙作戦中隊第1分遣隊による人工衛星の追跡・管制が主な任務となっています。飛行場の維持整備は、第821飛行場群が担当しています。

所在部隊

ピツフィク宇宙軍基地には、以下の部隊が所在しています。

宇宙作戦軍団隷下
第21宇宙航空団
第12宇宙警戒中隊
第50宇宙航空団
第50ネットワーク作戦群
第23宇宙作戦中隊第1分遣隊

関連事項

アメリカ空軍基地の一覧
トゥーレ
チューレ空軍基地米軍機墜落事故

外部リンク

ピツフィク宇宙軍基地

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