ピナコテカレコード

ピナコテカレコードは、1980年に日本の音楽シーンに登場したインディペンデント・レコードレーベルです。主宰者は、当時吉祥寺にあったライブハウス『マイナー』の店主であった佐藤隆史です。

レーベル設立の背景

ピナコテカレコードは、ライブハウス『マイナー』で行われていた人気イベント『愛欲人民十時劇場』でのライブパフォーマンスを記録し、その魅力を広めるために設立されました。このイベントは、さまざまなジャンルのアーティストが集い、実験的でアヴァンギャルドな音楽表現が展開される場でした。佐藤隆史は、このイベントで生まれた熱狂をレコードとして形に残すことを決意し、レーベルを立ち上げました。

レーベルの活動と特徴

ピナコテカレコードは、灰野敬二、山崎春美、PUNGO、第五列といった、当時アンダーグラウンドシーンで活躍していた個性的なアーティストたちの作品をリリースしました。これらの作品は、既存の音楽ジャンルにとらわれない、実験的で先鋭的なサウンドが特徴であり、その独自のスタイルは、後の日本の音楽シーンに大きな影響を与えました。

レーベルの代表作としては、『愛欲人民十時劇場』のライブ音源をはじめ、灰野敬二のファーストアルバム『わたしだけ?』、PUNGOの『PUNGO』、そして山崎春美を中心とした『TACO』などがあります。これらの作品は、いずれもピナコテカレコードの実験精神を象徴するものであり、現在でも多くの音楽ファンに支持されています。

レーベルの解散とその後

ピナコテカレコードは、1983年10月に解散しました。きっかけは、山崎春美が参加した『TACO』収録の楽曲「きらら」の歌詞に対する抗議でした。この出来事により、レーベルは活動を停止することとなりました。

しかし、ピナコテカレコードが制作を予定していた、世界各国の政治歌を収録したコンピレーションアルバム『A-Musik』は、後にバルコニーレコードからリリースされることとなりました。このアルバムは、ピナコテカレコードの解散後も、レーベルの思想と音楽的な志を継承する作品として評価されています。

主要作品

『愛欲人民十時劇場』 灰野敬二他
『Punkanchtock』 Anode Cathode(第五列)
『ノール』 NORD
『PUNGO』 PUNGO
『わたしだけ?』 [灰野敬二]
「三角福助」コクシネル
『Piyo-Piyo』 芳賀隆夫
『グランギニョル』 グランギニョル
『なまこじょしこうせい』 第五列＋DEKUスタジオ
『国家』 ジョン・ダンカン＋クリス＆コージー
『TACO』 山崎春美 他
『A-Musik』 竹田賢一 他

関連事項

インディペンデント・ジャーナル

参考文献

ピナコテカレコードに関する資料は、以下の書籍や雑誌で参照することができます。

アマルガム
インディスク・カタログ
FOOL'S MATE
* HEAVEN（自販機本）

まとめ

ピナコテカレコードは、短期間の活動ではありましたが、日本の音楽シーンに大きな足跡を残したレーベルです。実験的な音楽表現を追求し、多くの個性的なアーティストを輩出しました。その活動は、現在でも多くの音楽ファンに影響を与え続けています。解散後も、レーベルの作品は再評価され、その影響力は衰えることがありません。ピナコテカレコードは、日本のインディーズ音楽史における重要な存在であると言えるでしょう。

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