ピョートル・スヴャトポルク＝ミルスキー

ピョートル・ドミトリエヴィッチ・スヴャトポルク＝ミルスキー公爵

ピョートル・ドミトリエヴィッチ・スヴャトポルク＝ミルスキー公爵は、1857年8月18日にカフカスのウラジカフカスで生まれた。彼は帝政ロシアの軍人、警察官僚、そして政治家として名を馳せた人物である。彼の父は著名な軍人であるドミトリー・イワノヴィッチ・スヴャトポルク＝ミルスキー将軍で、文学史家のD. S. ミルスキーは彼の息子にあたる。

スヴャトポルク＝ミルスキーは1874年にロシアの軍人養成機関であるPage Corpsを首席で卒業し、1875年には皇后付き近衛軽騎兵隊で大尉として配属された。彼は1877年から1878年にかけて露土戦争に従軍し、カルスの戦いで功績を挙げた。その後、1881年に参謀大学を卒業し、1884年には第31歩兵師団の参謀として勤務した。1895年にはペンザ県知事、1897年にはエカチェリノスラフ県知事を任命された。

1900年、スヴャトポルク＝ミルスキーはドミトリー・シピャーギン内相によって内務次官兼憲兵隊司令官に任命された。しかし、1902年にシピャーギンが暗殺された後、同職を辞したものの、現在のリトアニアやベラルーシを含む北西管区の総督の地位を保持し続けた。この総督の地位において、彼は少数民族に対する抑圧政策の転換を図り、穏健派としての評価を受けた。

1904年、内相プレーヴェが暗殺されると、スヴャトポルク＝ミルスキーは新たな内相として任命された。彼の任命は、自由主義者や穏健派の保守主義者にとっての勝利と見なされ、特に皇太后マリア・フョードロヴナの支持を受けたものであった。宮廷内では、ニコライ2世の皇后アレクサンドラと異なり、マリアは自由主義的な改革を支持していた。スヴャトポルク＝ミルスキーの姉妹オリガも皇太后に仕えており、彼の昇進に寄与したと言われている。

内相としてのスヴャトポルク＝ミルスキーは、ロシア帝国における自由主義的改革を志向し、特に地方自治機関であるゼムストヴォの権限の強化を図った。彼はゼムストヴォに政策決定や計画調整の権限を付与し、国家評議会の設置を進めた。この改革には、ロシア社会民主労働党の合法化や信教の自由の拡大、非ロシア系少数民族に対する抑圧の緩和などが含まれていた。1904年には国会の開設を目指し、憲法制定に向けて具体的な計画を立てることにも成功した。

しかし、スヴャトポルク＝ミルスキーの提案は当時急進的すぎるとの理由で却下され、結果として1905年の十月詔書は彼が考えていた内容よりもさらに進んだものとなってしまった。1905年1月、首都サンクトペテルブルクにおいて労働者のデモに対し政府が発砲し、多くの死傷者を出す「血の日曜日事件」が発生した。この事件において、スヴャトポルク＝ミルスキーは発砲を許可していなかったものの、内相として責任を問われ、1905年2月に辞職することとなった。彼の功績は、その後のロシア政界における自由主義的な潮流や改革に影響を与えるものであった。

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