ピラタス PC-6(Pilatus PC-6)
概要
ピラタス PC-6は、
スイスの
航空機メーカー・
ピラタスによって設計された軽飛行機です。この単発
プロペラ機は、900機以上が生産されており、1959年
5月4日に初飛行を遂げました。愛称として「ポーター」または「ターボ・ポーター」と呼ばれています。
PC-6は特に多機能性が求められる場面や、厳しい環境条件においても運用が可能な設計がされています。STOL(短距離離着陸)性能に優れており、山岳地帯や雪原でも安定した運用が可能です。この機体は、頑丈な構造と角型の胴体断面を特徴としており、高翼配置の主翼を持っています。また、初期モデルでは
レシプロエンジンを搭載していましたが、
1961年以降は
ターボプロップエンジンに変更されました。アメリカのフェアチャイルド社でも、約100機が
ライセンス生産され、
21世紀に入り今なお生産されています。
特に山岳地帯や極地での運用実績が豊富で、日本の南極観測隊に採用されるなど高い評価を受けています。また、
ダウラギリ氷河上の固定翼機による高所着陸記録も保持しています。良好なSTOL性能から、ベトナム戦争ではエア・アメリカに軽
輸送機として使用され、
アメリカ軍が運用したAU-23ミニ・
ガンシップ機もPC-6を基にした製品です。さらに、
アメリカ陸軍はターボ・ポーターを「UV-20A チリカフア」として
ベルリンで活動に使用していました。
2010年代に入ってからも年に10機の生産が続けられていましたが、
2019年には製造中止が発表されました。なお、サポートは今後20年間継続される予定です。
派生型
PC-6の複数の派生型が開発されており、以下のようなモデルがあります:
- - PC-6 ポーター:最初の量産型。
- - PC-6/350 ポーター:エンジンを変更。
- - PC-6/A ターボ・ポーター:最初のターボプロップ型。
- - PC-6/B2-H4 ターボ・ポーター:機体の改善を行い現在も生産中。
- - PC-6/C2-H2 ターボ・ポーター:武装可能なモデルで、AU-23として正式採用されました。
採用国・軍用
PC-6は、世界各地の軍事および民間部隊で採用されています。その頑丈さと多機能性から、多様な用途で利用されています。
諸元(PC-6/B2-H2)
- - 全長:10.9 m
- - 全幅:15.13 m
- - 全高:3.2 m
- - 空虚重量:1,208 kg
- - 最大離陸重量:2,770 kg
- - エンジン:プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-27(550軸馬力) ×1
- - 最大巡航速度:260 km/h(高度10,000 ft)
- - 実用上昇限度:8,535 m
- - 航続距離:1,050 km(機内燃料のみ)
- - 乗員:1名
- - ペイロード:1,130 kg または 最大10名の乗客
さまざまな環境下で活躍するPC-6は、多くの国や機関に支持され続けています。