ピリッポス5世

ピリッポス5世：マケドニアの王とその挑戦

ピリッポス5世（紀元前238年 - 紀元前179年）は、マケドニアのアンティゴノス朝の一員として、紀元前221年から紀元前179年まで王位を有し、自身の治世を「ローマとの対抗」として位置づける人物でした。彼は父デメトリオス2世の死後、若干17歳で王としての業務を開始し、多くの困難に直面しながらも、国家の再建に尽力しました。彼の息子ペルセウスは、後のマケドニア王国の最後の王となる存在です。

幼少期と王位就任

ピリッポス5世は、紀元前229年に父王の死去を経て、大叔父アンティゴノス3世の支配下で成長しました。彼が王位に即位したのは紀元前221年であり、彼の即位後の初期においてはマケドニア北部からのダルダニ人の侵攻を食い止める手腕を見せました。さらに、ギリシアにおける内紛を背景に、ヘレネス同盟の主導権を握るまでに成長し、アイトリアやスパルタに対して軍事行動を展開。これにより彼はギリシアにおいて強い影響力を持つ存在となりました。

第1次マケドニア戦争

ピリッポス5世は、彼の権力を更に強化するために、アドリア海沿岸部でのローマの影響力を削ごうとしました。彼はイリュリアへの進攻を果敢に試み、成功を収めます。その後、紀元前215年においてはカルタゴの将軍ハンニバルとの同盟を結び、ローマに対抗する姿勢を強めました。しかし、時が経つとローマのアイトリア同盟との同盟が成立し、彼の影響力は徐々に失われていきました。

彼はペルガモンのアッタロス1世に対抗するためアカイア同盟の指導者フィロポイメンと接触し、転機を迎えます。紀元前207年にはペルガモンの勢力を打破し、アイトリアの宗教の中心地テルムムを制圧しました。これにより彼は、一時的に戦局を好転させることに成功しますが、他のギリシア都市の連携によって急速に不利に陥ることとなります。

第2次マケドニア戦争

時間が経つにつれ、カルタゴの脅威が去ると、共和政ローマとピリッポス5世との間に摩擦が生じました。紀元前200年にはローマがマケドニアを危険視し軍を派遣。その結果、紀元前197年におけるキュノスケファライの戦いで彼は壊滅的な敗北を喫することとなります。戦後、マケドニアは1000タレントの賠償金を課せられ、彼の息子デメトリオスは人質としてローマに送られる事態となりました。

戦後の状況と晩年

敗北後は、ローマとの関係強化を図るピリッポス5世は、スパルタと摩擦を起こしつつも、軍事と外交を通じて勢力を拡大しようとしました。しかし、親ローマ派であった息子デメトリオスの影響に悩まされ、ローマに王位を奪われないよう懸命に努力しました。しかし、この内紛から彼はデメトリオスを処刑してしまい、深い悔恨を残すことになります。

結局、健康を害した彼は、紀元前179年、アンフィポリスで息を引き取りました。彼の治世は、ローマとの関係が変化していく中でマケドニアの国運が揺れ動く様を反映したものであり、その歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

もう一度検索