ピーターバラ

ピーターバラ：歴史と現代が織りなすイングランド東部の都市

ピーターバラは、イングランド東部に位置する人口約21万人（2021年）の都市です。正式にはケンブリッジシャーに属するものの、1998年に単一自治体として独立し、独自の行政権限を持つようになりました。ロンドンから約125km北に位置し、ノーサンプトンシャー、リンカンシャー、ケンブリッジシャーのハンティンドン郡と隣接しています。東側は北海へと続くフェンと呼ばれる広大な湿地帯が広がり、「フェンの玄関口」として知られています。

地理と都市景観

ピーターバラは、起伏の少ない平野部に位置し、ネン川が市内を流れています。川沿いにはネン峡谷鉄道という保存鉄道が走り、歴史と自然を同時に楽しめる観光スポットとなっています。また、北部に流れるウェランド川も北海へと注いでいます。市の中心部は再開発されており、現代的なクイーンズゲート・ショッピングセンターが建設されています。一方、北西部のリンカンシャーとの州境付近には、ウィッタリング基地という英国空軍基地が存在しています。人口構成においては、アジア系住民が7～8％を占め、EU拡大後は東欧からの移民や労働者も増加しています。

歴史と発展

ピーターバラの歴史は古く、青銅器時代からの遺跡が発見されています。ローマ時代には、ロンドンと北東イングランドを結ぶ重要な街道の中継地として栄え、フェン・コーズウェイという街道の分岐点でもありました。サクソン時代には修道院が設立され、それが現在のピーターバラ大聖堂へと発展しました。19世紀にはイースト・コースト本線が開通、産業都市として発展を遂げ、戦後の1967年にはニュータウンに指定され、人口が急増しました。1970年代には一時、旅行会社トーマス・クックの本社も置かれていました。

行政と所属州の変遷

ピーターバラは、現在でも儀礼上はケンブリッジシャーの一部となっていますが、単一自治体として実質的に独立しています。しかし、警察や消防などの行政事務はケンブリッジシャーと共同で行われています。所属州は幾度も変更されており、1889年にはノーサンプトンシャーから独立したピーターバラ州となり、1965年にはハンティンドンシャーと合併してハンティンドン・ピーターバラ州、1974年にはケンブリッジシャーに編入、そして1998年に単一自治体となりました。この複雑な歴史は、ピーターバラが主教座都市であること、周辺人口が州を構成するには不足していたこと、そしてイーリーという別の主教座都市との近接性などが要因として挙げられます。

交通網

ピーターバラは、交通の要衝として重要な役割を担っています。ロンドンとエディンバラを結ぶ主要国道A1号線（一部はA1(M)高速道路）が通り、かつてのローマ街道の名残であるA15号線も存在します。鉄道においても、イースト・コースト本線が通っており、ロンドンやエディンバラへのアクセスが容易です。さらに、バーミンガム、レスター、ノリッジ、ケンブリッジ、スタンステッド空港など、広範囲の地域と鉄道で繋がっています。

ピーターバラ大聖堂

ピーターバラ大聖堂は、12世紀に建設されたノルマン様式の壮麗な建築物です。特に西正面は、3つのアーチを特徴とする初期イギリス・ゴシック様式の見事な例として知られています。

まとめ

ピーターバラは、歴史と現代が共存する魅力的な都市です。古くからの大聖堂や歴史的建造物、そして近代的な都市開発、多様な文化、そして充実した交通網など、多くの魅力を兼ね備えています。今後も発展を続けるピーターバラの動向に注目が集まります。

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