ファイアフライ (ユーライア・ヒープのアルバム)

『ファイアフライ』（Firefly）は、ユーライア・ヒープが1977年に発表した10枚目のスタジオ・アルバムです。バンドにとって大きな転換期を迎えた作品であり、新たなメンバーを迎えて制作されました。

背景

ジョン・ウェットンの脱退と、ボーカリストのデイヴィッド・バイロンの解雇という困難な時期を経て、ユーライア・ヒープは新たな才能を迎え入れました。元ルースターのジョン・ロートンを新しいボーカリストとして、そして元スパイダーズ・フロム・マースのトレヴァー・ボルダーをベーシストとして迎え、新たなスタートを切りました。

トレヴァー・ボルダーは、後にウェットンの後任としてウィッシュボーン・アッシュに加入しますが、1983年にはユーライア・ヒープに復帰し、2013年に亡くなるまでバンドに在籍しました。彼のユーライア・ヒープへの貢献は非常に大きいものでした。

また、興味深いエピソードとして、1976年の夏にデイヴィッド・カヴァデール（元ディープ・パープル）がユーライア・ヒープのオーディションを受けたという説があります。しかし、カヴァデール自身は2008年のインタビューで、これはオーディションではなく、単にユーライア・ヒープとジャム・セッションを楽しんだだけだと語っています。彼は当時、自身のキャリアについて真剣に考えていたため、ユーライア・ヒープへの加入は考えていなかったようです。

反響と評価

『ファイアフライ』は、本国イギリスでは商業的な成功を収めることができず、1971年の『対自核』以降のスタジオ・アルバムとしては初めて全英アルバムチャート入りを逃しました。これはバンドにとって残念な結果となりました。

しかし、ユーライア・ヒープの人気が根強いノルウェーでは、アルバム・チャートで11週連続トップ20入り（うち7週はトップ10入り）し、最高6位を記録しました。この事実は、ユーライア・ヒープが国際的な人気を博していたことを示しています。

オールミュージックのDonald A. Guariscoは、このアルバムに5点満点中3点を付け、ジョン・ロートンのボーカルを「即座にユーライア・ヒープのサウンドと一体化し得る、印象的かつ情感豊かなハード・ロック・ボイス」と評価しました。また、アルバム全体については、「"Gypsy"や"July Morning"ほどの高みに達している大作はないが、『ハイ・アンド・マイティ』の評価を下げるに至った不首尾の実験が排されたのに加えて、タイトなソングライティングと見事な演奏に基づいた、良質な一貫性を誇っている」と評しています。

収録曲

1. 絞首刑 - "The Hanging Tree" (Ken Hensley, Jack Williams)
2. 逃避 - "Been Away Too Long"
3. フー・ニーズ・ミー - "Who Needs Me" (Lee Kerslake)
4. 賢者 - "Wise Man"
5. ドゥ・ユー・ノウ - "Do You Know"
6. ローリン・オン - "Rollin' On"
7. 哀れみの涙 - "Sympathy"
8. ファイアフライ - "Firefly"

1997年と2004年にはリマスターCDがリリースされ、未発表音源やオルタネイト・バージョンがボーナス・トラックとして追加収録されました。これにより、アルバムのファンはより深く『ファイアフライ』の世界を堪能できるようになりました。

参加ミュージシャン

ジョン・ロートン - リード・ボーカル
ケン・ヘンズレー - キーボード、ギター、ボーカル
ミック・ボックス - ギター
トレヴァー・ボルダー - ベース
* リー・カースレイク - ドラムス、ボーカル

『ファイアフライ』は、ユーライア・ヒープの歴史において重要な作品であり、新たなメンバーと共にバンドが新たな方向へ進むことを示したアルバムです。ハード・ロック・ファンにとって、聴き応えのある一枚と言えるでしょう。

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