ファイサル (サウジアラビア王)

ファイサル・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウード：サウジアラビアの近代化と暗殺

ファイサル・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール・サウード（1906年3月14日 - 1975年3月25日）は、サウジアラビアの第3代国王として知られており、1964年から1975年まで在位しました。彼は初代国王アブドゥルアズィーズ・イブン・サウードの息子の一人で、ワッハーブ派イマームとしてはファイサル2世と呼ばれています。

生い立ちと政治キャリア

ファイサルはリヤドで生まれ、母方はムハンマド・イブン・アブドゥルワッハーブの子孫でした。彼は1925年にヒジャーズ王国の軍を指揮し、決定的な勝利を収めたことで名を馳せました。次の年にはヒジャーズの知事に任命され、その後、サウジアラビアが正式に建国された1932年には外務大臣に就任しました。

後に彼は1964年に兄のサウード国王が健康を害した際、摂政に任命され、その年の11月には王位を継承しました。

政策と改革

ファイサル国王は即位後、様々な近代化改革を推進し始めます。特に1962年11月には内政の基本政策として10項目からなる布告を発表し、後にはこれが実質的な憲法として受け継がれました。彼はクルアーンとスンナを法律の基盤とし、地方行政の整備や司法制度の確立を進めました。

また、教育と医療の無償提供を禁止にしたことで、サウジアラビアでは女性の教育が許可され、女学校も設立されるなどの変化が見られました。これらの改革は、保守的な立場を持つ多くの国民から反対に遭い、1965年には、テレビ放送を強制的に停止させようとする事件も発生しました。

国際的な影響力

ファイサル国王の治世は国際的にも注目され、特に1973年の第四次中東戦争中には、アラブ石油輸出国機構において石油価格を引き上げ、世界的な石油危機を引き起こしました。彼はまた、アメリカとの密約を結び、サウジアラビアがドル建てで石油を安定的に供給する一方、アメリカがサウジアラビアの安全保障を提供するようになりました。この契約を通じて、サウジアラビアは世界的な影響力を持つ国となりました。

1974年にはタイム誌のマン・オブ・ザ・イヤーに選出されるなど、彼の存在が世界的に評価されるようになります。

暗殺される

しかし、彼の治世は1975年に終わりを迎えます。ファイサル国王は、甥のファイサル・ビン・ムサーイドによって射殺されました。ムサーイドは、その場にいたクウェートの代表団に挨拶するため前屈みになった瞬間に攻撃を仕掛けました。公式には精神的な疾患があったとされていますが、家族の復讐や陰謀の可能性も噂されました。

遺産と影響

ファイサル国王の遺産は、サウジアラビアの近代化の象徴として今も記憶されています。彼を讃えて改名された都市やモスクなど、彼の影響は多くの形で残っています。例えば、パキスタンのライアルプール市はファイサラーバードに改名され、イスラマバードのファイサル・モスクもその一例です。

彼の治世を通じて、サウジアラビアは急速に近代化を進め、国際社会での位置を確保していったのです。

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