ファインモールド

ファインモールド

株式会社ファインモールド（Fine Molds）は、日本の模型製品メーカーです。歴史的な航空機や軍用車両を中心に、精密なプラスチックモデルキット（インジェクションキット）の製造・販売を手掛けています。

概要

愛知県豊橋市に本社と工場を構えています。同社が得意とする分野は、比較的マイナーな存在ながら歴史的に重要な位置を占める旧日本軍の航空機や軍用車両、そしてドイツ軍の航空機など多岐にわたります。

代表取締役社長の鈴木邦宏氏は、元々木工業を家業としていましたが、伝説的な模型サークル「無限軌道の会」の設立メンバーとなるほどの戦車模型愛が高じ、家業を離れて金型職人の道を選んだという異色の経歴を持っています。この経歴から、キットの再現度や金型技術に対するこだわりは非常に強く、「現代の匠」とも称され、地元の豊橋市から「とよはしの匠」に選ばれるなど、公的な認定や表彰も受けています。同社のマスコットキャラクターは、社内で飼育されている犬の「五式犬」です。

製品ラインナップ

ファインモールドの製品は、その考証性の高さに定評があります。特に旧日本軍の兵器については、実際に使用した元兵士への取材を行うなど、そのこだわりは徹底しています。製品に同梱される解説書は、その詳細な内容から考証性の高さを物語っています。

主力であるインジェクションキットに加え、ホワイトメタルを用いたメタルキットの製造も行っています。また、第二次世界大戦から現在までの軍用機、戦闘艦艇、軍用車両などに使用可能な、エッチングパーツ、金属線、レジンキャストといった素材を用いた「アフターマーケットパーツ」と呼ばれるディテールアップ用の製品の製造・販売にも注力しています。レーザー彫刻機や超微細領域のプラスチック成形技術を駆使し、他の追随を許さない、非常に微細な領域のパーツ開発にも積極的に取り組んでいます。

スケールモデル以外にも、キャラクター関連キットを手掛けている点も特徴です。社長が親交のある漫画家、鳥山明氏にデザインを依頼した1/1|1_12スケールの「ワールドファイターコレクション」や、映画『スター・ウォーズ』シリーズのXウィング、ミレニアム・ファルコン、宮崎駿監督作品『紅の豚』に登場するサボイアS.21、押井守監督作品『スカイ・クロラ』の散香Mk-Bなどが製品化されています。

スター・ウォーズ関連

特に『スター・ウォーズ』シリーズのキットは、スケールモデルメーカーとしての知見を活かした、考証性の高いアイテムが多くリリースされました。しかし、ミレニアム・ファルコンのように、独自の解釈が加えられた結果か、オリジナルの撮影用プロップとはプロポーションが異なる製品も見られます。元々、同シリーズのキットはルーカスフィルムとの契約により日本国内での販売に限られていましたが、個人輸入などを通じて日本国外にも流通した一部キットが、ドイツの模型誌が選出する「モデル・デス・ヤーレス」（年間傑作模型賞）を受賞したというエピソードも残されています。なお、ファインモールド製の『スター・ウォーズ』シリーズの製品は、2014年10月以降、全て生産終了となっています。

流通と他社との関係

かつては株式会社ハセガワを通じて製品が流通していましたが、後に独自の販売・流通網を確立しました。また、他社との協力関係も見られ、株式会社タミヤが販売する一部キットに、ファインモールド製の兵士フィギュアが同梱された例や、ファインモールド製1/72スケール|1_72スケール「ショートノーズファントム」の初回限定版にタミヤ製のパイロットフィギュアが付属するなど、メーカー間の連携も行われています。

ファインモールドは、その精密な金型技術と徹底した考証に基づいた製品開発により、国内外の模型愛好家から高い評価を得ているメーカーです。特に歴史上の機体や車両、そして独自の視点によるキャラクターモデルは、他の追随を許さない製品として知られています。

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