ファッションモンスター

きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」：詳細解説

2012年10月17日、ワーナーミュージック・ジャパンから発売されたきゃりーぱみゅぱみゅの3枚目のシングル「ファッションモンスター」は、彼女の音楽性を大きく転換させた重要な作品と言えるでしょう。前作までのポップでメルヘンチックな楽曲とは異なり、本作ではハイテンポでロックなテイストのエレクトリック・チューンに挑戦。一方で、サビの部分ではキャッチーなリフレインが用いられており、幅広いリスナーに受け入れられるポップスとしての側面も持ち合わせています。

楽曲のメロディーラインには、ジューシィ・フルーツの『ジェニーはご機嫌ななめ』を思わせる部分も聴き取れるなど、音楽的な影響も感じられます。歌詞は、自由な生き方への共感を表現したもので、きゃりーぱみゅぱみゅ自身も「最初はみんなから怖がられてるモンスターなんだけど、自分の気持ちを自由に表現するうちにどんどん人気者に変わっていくというストーリーなんです!!!」とコメントしています。この楽曲のクオリティの高さが認められ、桑田佳祐氏は自身のラジオ番組「桑田佳祐のやさしい夜遊び」内の企画「桑田佳祐が選ぶ2012年邦楽ベスト20」で「ファッションモンスター」を表題曲を3位に選出するなど、高い評価を得ています。

シングルは初回限定盤（フォトブック仕様）と通常盤の2形態でリリースされました。楽曲は全て中田ヤスタカ氏による作詞・作曲・編曲です。

収録曲

ファッションモンスター [4:37]：ジーユー、テレビ東京系『JAPAN COUNTDOWN』、第一興商「LIVE DAM フリカラ」、日清食品「日清焼そばU.F.O.」CMソングとして起用
100%のじぶんに [3:26]：スズキ「MRワゴン」CMソング。きゃりーぱみゅぱみゅ本人もムーミンのミイと共にCMに出演
* つけまつける（extended mix） [4:56]

アートワーク

CDジャケットのアートワークは、初回限定盤、通常盤ともに、きゃりーぱみゅぱみゅ流の「ファッションモンスター」をユーモラスに表現しています。アートディレクションとデザインはSTEVE NAKAMURA氏が担当し、ヘアメイクは小西神士氏、スタイリングは飯嶋久美子氏、そして撮影は半沢健氏が手掛けています。

ミュージックビデオ

ミュージックビデオは、これまでの「カワイイ」路線とは異なり、硬質で大人びたモノクローム・ファンタジーの世界観が特徴です。舞台は洋館で行われるハロウィンパーティー。きゃりーぱみゅぱみゅは、個性的なモンスターバンド（毛むくじゃら男（ウッドベース）、フランケン（ドラム）、うさぎ男（ショルダーキーボード）、ゴブリン（トランペット）、ガイコツ（テルミン））と共に、即興演奏を披露します。巨大モンスター（月）、禿げ頭の仙人、喪服のダンサーなども登場し、独特の演出でパーティーを盛り上げます。

ビデオの中では、仙人が居合で「コンサバ」「チャラ男」などきゃりーぱみゅぱみゅが嫌いなものを斬り捨てるシーンや、きゃりーぱみゅぱみゅが大量のピンクのスライムを浴びるシーンなど、インパクトのある場面が多数盛り込まれています。きゃりーぱみゅぱみゅのストライプの衣装は、映画『ビートルジュース』の主人公を意識したデザインで、コウモリ型のウィッグは人毛を使用するなど、細部までこだわった作り込みがなされています。モンスターたちの特殊メイクや楽器のデザインにも遊び心が感じられます。

ミュージックビデオの撮影は、調布の日活スタジオで40時間かけて行われました。パーティー会場は全てセットで制作され、プレゼントが宙に舞う仕掛けなども用いられています。監督は田向潤氏、美術装飾は増田セバスチャン氏、スタイリストは飯嶋久美子氏が担当しました。特に、仙人の居合シーンは、スタジオの空気を一変させるほどの迫力があったと伝えられています。

「ファッションモンスター」は、音楽性、歌詞、ミュージックビデオ、そしてCM展開と、様々な面で話題を呼び、きゃりーぱみゅぱみゅのキャリアにおいて重要な作品となりました。

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