ファメニアン

ファメニアンについての概要

ファメニアン（英: Famennian）は、地質時代名の一つであり、国際層序委員会によって定義されています。この時代は、約3億7220万年前から3億5890万年前にかけて存在し、後期デボン紀の後半を構成しています。前の時代は後期デボン紀前期のフラニアンであり、その後は前期石炭紀初期のトルネーシアンが続きます。ファメニアン期とも称されるこの時代は、古代の生物世界に大きな変化をもたらしました。

大量絶滅

ファメニアンは、五大大量絶滅の一つとされる後期デボン紀の大量絶滅が発生した時期でもあります。この大量絶滅の痕跡は、ベルギーのフラニアン - ファメニアン境界やベトナムのデボン紀 - 石炭紀境界で見られます。これらの地域では、ジベンゾフランやカダレンという指標物質のピークが記録されており、これはそれぞれ海洋への土砂流入と陸上の維管束植物の存在を示していると考えられています。つまり、陸上の植生が崩壊した可能性が示唆されています。

また、フラニアン - ファメニアン境界において、放散虫の繁栄が考えられていましたが、2002年の研究によってこの仮説は修正されました。放散虫は科レベルの多様性を維持していましたが、属の27%がフラニアン末期に絶滅していたことがわかりました。ファメニアン期前のフラニアン期では、Entactinariaの亜目が主に見られましたが、境界を越えることで放散虫の群集は大きく変化し、ファメニアン期にはAlbaillellaria亜目とNassellaria亜目が繁栄を見せました。

層序

ファメニアン階は1855年にベルギーの地質学者アンドレ・デュモンによって提案され、1981年に後期デボン系の層序として公式に認められました。その名称は、ベルギー南部のリュクサンブール州に位置するマルシュ＝アン＝ファメンヌに由来しています。ファメニアン階の基底は、Palmatolepis triangularisの初出現と一致しています。また、ファメニアンの最上部は、トルネーシアン階の基底とも考えられており、かつてはアンモナイトの種であるGattendorfia subinvolutaの初出現で定義されていましたが、現在はシフォノデラ属のコノドントSipohonodella praesulcataから進化したSipohonodella sulcateの初出現によって定義されています。

日本におけるファメニアン

日本国内においても、ファメニアン期の地質が見られる場所があります。具体的には、岩手県大船渡市の日頃市町長安寺において確認される長安寺層です。この層は、三葉虫や腕足動物の化石に基づき、かつて下部石炭系トルネーシアン階と考えられていました。しかし、その砂岩と頁岩からは腕足動物のセルアトリパやキルトスピリファーが見つかり、これによりフラニアン階からファメニアン階に遡るものとされてきました。特に、キルトスピリファーはこの時代を示す重要な示準化石とされており、他にも小葉植物レプトフロエウムと共に、飛騨外縁帯や南部北上帯など日本各地からも発見されています。

ファメニアンは、地質学的に非常に興味深く、また重要な時代であることが理解できるでしょう。ここでの変化は、地球の生物多様性や環境に関する知見を深める手助けとなるのです。

もう一度検索