ファラー州

ファラー州の概要

ファラー州は、アフガニスタンの西部に位置し、ヘラート州、ゴール州、ヘルマンド州、ニームルーズ州、そしてイランの南ホラーサーン州、スィースターン・バルーチェスターン州と国境を接しています。アフガニスタンで4番目に大きな州ですが、人口は比較的少なく、約43万8千人が暮らしています。州都はファラーで、この地域における商業と農業の中心地です。ファラーには古代の城塞遺跡が多く残っており、歴史的な魅力も備えています。

地理と人口

ファラー州の面積は48,471平方キロメートルで、広大な土地を有しています。しかし、人口密度は低く、広大な砂漠や山岳地帯が広がっています。州都ファラーは、州内の交通の要所であり、周辺地域からの物資が集まる場所です。

文化

ファラー州の住民は、一般的に勤勉で勇猛な性格であるとされています。また、土地やお金に対する執着心が強いとも言われています。これは、歴史的にファラー州が豊かな地域ではなかったことが影響していると考えられます。家族を非常に大切にする文化があり、重婚や大家族も珍しくありません。一般家庭では4人以上の子どもがいることが多いです。

民族構成としては、パシュトゥーン人が多数を占めますが、州都周辺にはタジク人も多く住んでいます。また、州内にはアイマーク人が多く住む地域も点在しています。ファラー州は家父長制社会であり、部族長は非常に尊敬されています。一族の名誉を重んじる傾向があり、幼少の頃から一族の名誉を守るように教えられます。

宗教

ファラーには、マフディー（救世主）として信仰を集めるサイード・ムハンマド・ジョウンプリーの墓があります。この墓には、パキスタンやインドなど世界中から毎年多くの信者が参詣に訪れます。

治安

ファラー州は、アフガニスタンにおける紛争地域の一つです。アメリカのアフガニスタン侵攻後、比較的平穏を保っていましたが、東部山岳地帯では米軍によるターリバーン掃討作戦も行われました。2005年には、援助機関職員が殺害される事件や、知事の暗殺未遂事件も発生しました。ヘルマンド州やウルーズガーン州といった治安が悪い州と隣接しているため、ターリバーンなどの非合法組織が頻繁に州内を通過し、時には地域を占拠する事件も発生しています。これらの事件は、南部諸州で国際治安支援部隊 (ISAF) によるターリバーンへの攻勢が強まるにつれて増加傾向にあります。

ファラー郊外には、地域復興支援チーム (PRT) の基地が設置されており、米軍とNATOが運営しています。2005年以降、ファラーの道路改修や教育システムの改善が進められてきました。PRTによる武装解除も進められています。しかし、2018年には道路脇に仕掛けられた即席爆弾による旅客バスの爆破事件が発生し、多数の死傷者が出ました。2021年には、ターリバーンが州都ファラーを占領しました。

近年の動向

近年、ファラー州では、国際社会の支援を受けながら、復興と開発が進められています。しかし、依然として治安情勢は不安定であり、今後の動向が注目されています。

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