南ホラーサーン州

南ホラーサーン州

南ホラーサーン州は、イランの東部に位置する州です。州都はビールジャンドで、フェルドゥースなどの都市があります。この州は、2004年にホラーサーン州が3分割された際に成立しました。

歴史

ホラーサーン地域は、長い歴史の中でさまざまな王朝の支配を受け、多くの民族が交流しました。アラブ、テュルク、モンゴル、トゥルクマーン、アフガンなど多様な民族がこの地に到来し、歴史に大きな影響を与えてきました。

古代イランの地理学者は、イラン世界を8つの地域に区分しましたが、ホラーサーンはその中で最も大きく、繁栄した地域でした。アルサケス朝時代には、メルヴ近郊が重要な拠点となりました。サーサーン朝時代には、将軍と4つの地域を治める太守が統治しました。

イスラム勢力による征服後、ホラーサーンはニーシャープール、メルヴ、ヘラート、バルフを中心とする四つの地域に分割されました。651年にアラブ・イスラム勢力が侵入し、その後アッバース朝の支配を経て、ターヒル朝、サーマーン朝が続きました。994年にはガズナ朝がホラーサーンを征服し、1037年にはセルジューク朝がニーシャーブールを征服しました。

セルジューク朝とガズナ朝の対立の後、ホラズム・シャー朝がこの地を支配しましたが、モンゴル帝国の侵入を受け、イルハン朝の領域となりました。14世紀にはサルバダール運動が起こり、一時的な独立を達成しましたが、1368年にティームールによって征服され、ヘラートが首都となりました。1507年にはウズベク族がホラーサーンを征服し、1747年以降はアフガンの勢力圏となりました。

ガージャール朝時代には、イギリスがアフガンを支援し、ヘラートはイランから分割されました。ナーセロッディーン・シャーはヘラート奪還を目指しましたが、1857年のパリ条約により、イランはヘラートを含む現在のアフガニスタン領域への領有権主張を取り下げました。こうして、ホラーサーンは東部地域がイギリスの保護下に入り、残りの西部地域がイラン領として残りました。

2004年、ホラーサーン州は北ホラーサーン州、南ホラーサーン州、ラザヴィー・ホラーサーン州の三つに分割されました。

現在の南ホラーサーン州

南ホラーサーン州には、ペルシア、ホラーサーニー・テュルク、トルクメン、クルド、アラブなどの民族が居住しています。近年ではアフガン難民の流入も多く、大きなコミュニティを形成しています。特産品としては、絨毯やサフランが有名です。

観光地

南ホラーサーン州には、多くの文化・自然の名所があります。宗教建築も多く、巡礼地となっている場所も少なくありません。イラン文化遺産協会には、ホラーサーン3州全体で1179ヵ所が登録されています。

ビールジャンドは歴史的に「クーヒスターン」と呼ばれ、イスラム化以降重要な役割を果たしました。また、イスマーイール派などの分派や、アッバース朝の支配を逃れる人々の避難地となり、ゾロアスター教徒が残った地域でもあります。

主要な観光地としては、以下のものがあります。

フェルドゥース温泉
ナフバンダーン城址
フォルグ城址
コラーフ・ファランギー家（ビールジャンド）
ガルエ・パーイーンシャフル
チャフル・デラフト・モスク
アミールアバード庭園
ベフギャルド庭園
アクバリーイェ庭園
チェンシャト渓谷
ビールジャンド金曜モスク
イマームザーデ・ムーサー
アーラーム宮殿
デラーゴン渓谷（サラーヤーン）
ガルエ・ガーラー城址（サラーヤーン）

この他にも、260ヵ所以上がイラン文化遺産協会に登録されています。

高等教育機関

ビールジャンド大学
イスラーム自由大学ビールジャンド
ビールジャンド医科大学

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