啓定帝

啓定帝（カイディンてい）

啓定帝（1885年10月8日 - 1925年11月6日）は、ベトナム阮朝の第12代皇帝です。諱は阮福宝嶹（グエン・フック・ブーダオ）といいましたが、後に阮福晙（グエン・フック・トゥアン）と改めました。

生涯

1885年、啓定帝は同慶帝と仙宮皇太后楊氏熟の間に順化の王宮で生まれました。幼少の頃は病弱であり、父帝の崩御後も即位は見送られ、成泰帝が皇位を継承しました。1916年、維新帝がフランスを排除しようとしたため廃位され、レユニオン島へ流刑となりました。その後、フランスによって擁立され、12代皇帝に即位しました。年号は「啓定」と定められました。

啓定帝は、形骸化した阮朝の威信回復を目指しましたが、その即位の経緯から非常に厳しい状況に置かれました。フランスの監督下で多くの法令を制定しましたが、国内の状況は改善されず、むしろ多くの民主人士が逮捕・投獄される結果を招きました。フランスは、啓定帝の即位を機に科挙を廃止し、知識人の影響力を弱めようとしました。また、公文書の表記を漢文からクオック・グーに変更しました。

啓定帝は、国民からは「フランスの傀儡皇帝」と見なされ、その評判は芳しいものではありませんでした。民主主義者のファン・チュー・チンからは批判され、グエン・アイ・クオック（後のホー・チ・ミン）は、啓定帝を風刺する戯曲「竹の龍」を著しました。1922年には、マルセイユ殖民博覧会に出席するためフランスを訪問し、そこで見た大型建造物に影響を受けました。帰国後、王宮内の建中殿をバロック様式に改築するなど、親仏的な姿勢を強めました。また、1923年には自身の陵墓建設のために増税を命じ、多くの批判を浴びました。

幼少時から病弱だった啓定帝は、1925年に結核で崩御しました。その後、長男の阮福永瑞が帰国し、保大帝として即位しました。啓定帝は同性愛者であったとされ、妃たちとはほとんど同衾せず、ある衛兵を寝所に呼んで共寝していたという記録があります。

宗室

阮福晪（保大帝）

脚注

参考文献

外部リンク

カイディン帝陵（日本語）

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