フアード・マアスーム

ムハンマド・フアード・マアスーム

ムハンマド・フアード・マアスーム（アラビア語: محمد فؤاد معصوم、1938年1月1日生まれ）は、イラクの著名な政治家であり、2014年から2018年にかけてイラクの第7代大統領を務めました。彼はクルド人のベテラン政治家として知られ、前代のジャラル・タラバニの後、イラクで非アラブ系の大統領となった2人目です。

生い立ち

マアスームはアルビール県コヤ市のフラーマーン地方にあるハバネン村で育ちました。彼は青年時代をイラクのクルディスタン地域で過ごし、さまざまな宗教学校で学びました。法律やシャリーアを学ぶためにバグダード大学に進学し、1958年にはカイロのアズハル大学で高等教育を受けました。1975年にはイスラーム哲学の博士号を取得し、その後、バスラ大学の教授として教鞭を執りました。

政治家としての経歴

共産党時代

1962年にイラク共産党に入党したマアスームは、1964年にシリアを訪れ、シリア共産党の書記であるハーリド・バクダーシュと会談しました。しかし、彼が受けたバクダーシュのクルド人に対する態度に失望し、党を離れてクルディスタン民主党 (PDK) に参加しました。

クルディスタン民主党時代

1968年にはPDKのバスラ代表として活動し、クルド革命の時期にはカイロに移って代表を務めました。彼の活動はイラクのクルド地域における政治の発展に大きく寄与しました。

クルディスタン愛国同盟時代

1976年、マアスームはクルディスタン愛国同盟 (PUK) の共同設立者として名前を連ね、1992年にはクルディスタンの初代首相に就任しました。2003年のイラク戦争後は、憲法制定委員会のメンバーとして憲法の成立に寄与し、2010年には国民議会の初代議長を務めました。

大統領職

2014年、マアスームは国会によってイラクの大統領に選出されました。投票では211票を獲得し、最大のライバルであったバルハム・サリフはわずか17票にとどまりました。彼の就任直前、国際連合の潘基文事務総長はイラクの政治情勢を懸念し、より包括的な政府の必要性を指摘していました。

大統領に就任したマアスームは、イラクが抱える重大な安全保障、政治、経済の課題に直面しました。特に、彼は新たな首相にハイダル・アル＝アバーディを任命しなければならず、その任命を巡っては前首相マーリキーとの間で論争が起こりました。その結果、マーリキーは権力を維持しようと試みましたが、国内外の圧力に押され退陣を余儀なくされました。

人物

マアスームは結婚しており、5人の娘を持ちます。彼の一人息子は病気のため早逝しました。彼の家庭はイラクの政治情勢に影響を与える重要な背景となり、彼自身の政治活動にも強い影響を与えています。

マアスームはイラクの政治において重要な役割を果たしており、彼の経歴は多様な体験に満ちています。

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