フィオラノサーキット

ピスタ・ディ・フィオラノ：フェラーリの聖地

ピスタ・ディ・フィオラノは、イタリア・エミリア＝ロマーニャ州モデナ県フィオラーノ・モデネーゼに位置する、フェラーリの専用テストコースです。マラネッロにあるフェラーリ本社工場の西側に隣接しており、1972年に完成しました。フィアットによるフェラーリ買収後、マラネッロ工場西側の果樹園を造成して建設されたこのサーキットは、フェラーリの技術開発において重要な役割を担っています。

多様なテスト環境と最新設備

ピスタ・ディ・フィオラノは、フェラーリのF1マシン、GTカー、XXシリーズ、そして市販車といった多様な車両のテストに使用されています。コース上には、効率的なデータ収集を可能にする計測機器やテレビモニターが多数設置されており、車両の性能を綿密に分析することができます。さらに、ウェットコンディションを再現するための散水システムと排水システムも導入され、あらゆる状況下でのテストを可能にしています。コースの路面には、高いグリップ力と排水性を誇るシェル開発のアスファルトが使用されています。

80席の観覧スタンドに加え、充実した設備を備えたガレージスペースも確保されており、悪天候時にもスムーズな作業を可能にしています。コース中心部には、創業者エンツォ・フェラーリの執務室「エンツォの家」が存在し、現在も保存されています。エンツォの死後、この建物はオーナー向けの宿泊施設として利用されています。その後、隣接してドライバーの更衣室、トレーニングルーム、セミナールームなどが備えられた建物も建設されました。

近接するスクーデリア・フェラーリと物流拠点

ピスタ・ディ・フィオラノは、本社から独立したスクーデリア・フェラーリ（レース部門）のファクトリーにも隣接しています。この配置により、F1マシンのシェイクダウンをサーキットで直接行うことが可能です。2002年には、F1マシンの輸送準備やトランスポーターの管理を行う物流部門も増設され、レース活動の効率化に貢献しています。

多様なコースレイアウトと高性能

ピスタ・ディ・フィオラノのコースレイアウトは、世界各地のF1サーキットの特徴を再現できるようデザインされており、立体交差という珍しい特徴も備えています。コース幅は8.4メートル。多様なコーナーが配置されており、その曲率半径は370Rから13.71Rまで様々です。F1マシンでの平均速度は160km/h以上、最高速度は290km/hに達します。また、タイヤ開発用の特殊なテストコースも備えています。

コースの長さは、当初2,948.50メートルでしたが、1992年のシケイン増設により3,021メートル、1996年のコース改修によりシケインありで2,997メートル、シケインなしで2,976.41メートルとなりました。

まとめ

ピスタ・ディ・フィオラノは、単なるテストコースではなく、フェラーリの技術開発、レース活動、そして歴史を象徴する総合施設です。最新の設備と伝統が融合したこのサーキットは、これからもフェラーリの進化を支え続けるでしょう。 その歴史、技術、そしてフェラーリへの情熱が凝縮されたこの場所こそが、真の「フェラーリの聖地」と言えるのではないでしょうか。

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