フィリップ・ハワード (第20代アランデル伯爵)

第20代アランデル伯爵フィリップ・ハワード

フィリップ・ハワード（1557年 - 1595年）は、イングランドの貴族であり、ローマ・カトリック教会の聖人です。信仰を貫き、殉教者として列聖された彼の生涯は、激動の時代における信仰のあり方を問いかけます。

生涯

1557年、第4代ノーフォーク公爵トマス・ハワードの長男として、ロンドンで生まれました。父はエリザベス1世に対する陰謀に加担したとして処刑され、フィリップはノーフォーク公位を継承できませんでした。しかし、母方の祖父である第19代アランデル伯爵ヘンリー・フィッツアランの死後、アランデル伯爵位を継承しました。

ケンブリッジ大学で学び、学識を深めましたが、1584年にカトリックに改宗。カトリック信仰を公にしたことで、エリザベス1世の不興を買い、1585年に国外脱出を企てたとして逮捕され、ロンドン塔に投獄されました。

1588年、スペインの無敵艦隊がイギリスに侵攻した際、獄中でスペインの勝利を祈願したとされ、大逆罪で有罪判決を受け、全ての称号と土地を没収されました。

死刑執行を前に、フィリップは女王に、妻と、投獄後に生まれた息子に会わせてほしいと嘆願しました。女王はプロテスタントへの改宗を条件としましたが、彼は信仰を捨てることを拒否し、1595年10月19日に獄中で亡くなりました。

信仰と列聖

フィリップ・ハワードは、カトリック信仰を貫き、権力者の圧力にも屈しなかったことから、カトリック信徒の間で殉教者として崇敬されるようになりました。1920年に列福され、1970年には教皇パウルス6世によって列聖されました。

彼の遺骸は、当初ロンドン塔内のセント・ピーター・アド・ヴィンキュラ礼拝堂に埋葬されましたが、後にアランデル城近くのフィッツアラン礼拝堂に改葬され、さらに列聖後の1971年にはアランデル聖堂に移されました。

家族

1571年にアン・デイカーと結婚し、一男を儲けました。

長男：トマス・ハワード（後の第21代アランデル伯爵）

爵位

第20代アランデル伯爵（1580年 - 1595年）

フィリップ・ハワードの生涯は、信仰と良心に従って生きることの尊さを教えてくれます。彼の列聖は、困難な時代にあっても信仰を守り抜いた人々の勇気を称えるものであり、現代においても重要な意味を持っています。

参考文献

海保眞夫『イギリスの大貴族』平凡社〈平凡社新書020〉、1999年。ISBN 978-4582850208。
Malcolm Brennan, "Martyrs of the English Reformation"
* Sigrid Undset, "Stages on the Road", copyright 1934.

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