フィリップ・J・カリー

フィリップ・ジョン・カリー

フィリップ・ジョン・カリー（Philip John Currie、1949年3月13日生まれ）は、カナダのアルバータ州の著名な古生物学者である。彼はロイヤル・ティレル古生物学博物館での勤務や、現在はエドモントンのアルバータ大学で教授として教壇に立つなど、古生物学の発展に寄与してきた。特に1980年代に監督した中国-カナダ恐竜プロジェクトでは、羽毛恐竜の最初の記載に関与するなど、その業績は多岐にわたる。彼の研究分野には、獣脚類、鳥類の起源、恐竜の移動パターン、群れの行動が含まれ、恐竜研究の第一人者として知られている。また、映画『ジュラシック・パーク』に登場するアラン・グラントがカリーをモデルにしているとされる。

幼少期と教育

カリーの恐竜に対する興味は、幼い頃から芽生えた。6歳の時、恐竜の食玩に感動し、11歳の時にはロイ・チャップマン・アンドリュースのモンゴル遠征に心を奪われ、古生物学者を志すようになった。当時は恐竜に関する文献や映像が少なかったため、彼はロイヤル・オンタリオ博物館を訪れることを楽しみにしていた。トロント大学で学士号を取得後、マギル大学で修士号、さらに同大学で生物学の博士号を取得した。その過程での研究も含め、彼の知識は着実に積み重ねられていった。

1976年にはアルバータ博物館（後のロイヤル・アルバータ博物館）の学芸員となり、フィールドワークを通じて恐竜の化石収集に多大な影響を与えた。その結果、1985年にティレル古生物学博物館が設立され、彼は同館の恐竜担当学芸員に任命された。

中国-カナダ恐竜プロジェクト

カリーは1986年、カナダ自然博物館のデイル・ラッセルや中国科学院の董枝明と共に、中国-カナダ恐竜プロジェクトを監督。しかし、彼の貢献は日本にも及び、1990年代初頭から福井県立恐竜博物館との交流を深め、共同研究や展示の監修を行った。

古生物学への貢献

カリーのフィールドワークは、北アメリカからアジアに広がり、モンゴルやアルゼンチン、さらには南極などで調査を行った。彼の研究成果には、以下のような業績が含まれている：

• - ステノニコサウルスをトロオドンのジュニアシノニムと位置付けること。
• - 恐竜と鳥類の類似点を強調し、鳥類の起源に関する理解を促進。
• - 鞭状の尻尾を持つディプロドクス科の恐竜の動きに関するコンピュータモデルの作成。
• - 幼体や成長段階の化石群集を研究し、生態学的知見を提供。
• - 幅広い恐竜種の頭蓋の解剖学的研究を進め、新たな命名を行った。

フィリップ・J・カリー恐竜博物館

2015年、アルバータ州ウェンブリーにカリーの名を冠した恐竜博物館が開館した。この研究所は恐竜化石のボーンベッドを記念するものであり、近年の古生物学研究にも寄与している。

私生活と受賞歴

カリーはエドガー・ライス・バローズの作品やサイエンスフィクションに興味を持ち、古植物学者のエヴァ・コッペルフスと結婚している。その業績が評価され、数々の受賞歴を持つ。1988年のサー・フレデリック・ホールテイン賞や、1999年にはカナダ王立協会に選ばれた。彼の名を冠した種もいくつか存在し、古生物学界におけるその影響力を示す一端ともいえる。

彼の著書には日本語版が存在するものもあり、多くの人々に恐竜に関する知識を広めている。

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