フェラーリ・550マラネロ

フェラーリ 550マラネロ

550マラネロは、イタリアの名門自動車メーカー、フェラーリによって生み出された二人乗りのクーペで、その特徴はV12エンジンを搭載したグランツーリスモである点です。このモデルは、1996年にその名を広め、長い歴史を持つフェラーリのフラグシップモデルとして位置づけられています。

歴史と設計

550マラネロは、F512Mの後継モデルであり、ラグジュアリーなスポーツカーとしての地位を確ごうとした結果、1996年のニュルブルクリンクで初めて披露されました。これにより、365GT4BB以来続いていたリアミッドシップ構造を捨て、FR（フロントエンジン・リアドライブ）レイアウトに回帰しました。この設計変更は、356GTB/4以来の試みであり、より独自な乗り心地と高性能を追求した結果です。

メカニズムでは、車体の基盤として鋼管スペースフレームを使用し、外装には軽量なアルミニウムを採用しました。搭載されているのは、456GTにも使用されている5.5Lエンジンです。このエンジンは、65°のV型12気筒DOHC48バルブ仕様で、ドライサンプ化や可変バリアブルジオメトリー・インテーク、可変制圧エキゾーストといった先進技術が取り入れられています。さらに、F1マシンおよびF50から引き継がれたアルミニウム製ピストンやチタン製コンロッドも使用されており、高いパフォーマンスを発揮します。

550マラネロは、速さだけでなくその美しいフォルムでも知られており、デザインはイタリアの名門デザイン会社ピニンファリーナが手がけました。このデザインは275GTBを連想させるもので、エレガントさとスポーティーさを見事に融合しています。2000年には、限定のオープンモデルであるバルケッタも追加され、さらなる魅力を引き出しました。

パフォーマンスとマイナーチェンジ

550マラネロは、その性能の高さからF40を超える最高速度320km/hを誇ります。また、フィオラノサーキットでの走行タイムでもF512Mを上回りました。2002年3月には、より進化した575Mマラネロが発表され、550マラネロの後継モデルとなりました。575Mではさらなる性能の向上が見られ、その評価は高くなりました。

モータースポーツへの貢献

550マラネロは、モータースポーツ界でも重要な役割を果たしました。2001年からはプロドライブの手によってチューンされたモデルがFIA GT選手権に参戦し、2003年と2004年にはシリーズチャンピオンを獲得しました。また、ル・マン24時間レースでは、プロドライブ自身が走らせた550マラネロがLM-GTSクラスでのクラス優勝を果たし、卓越したパフォーマンスを示しました。

このように、550マラネロは性能と美しさ、そしてレースでの実績を兼ね備えた名車であり、フェラーリの歴史の中でも特に重要なモデルの一つです。自動車ファンの間でその魅力は色あせることなく、未だに多くの人々に愛されています。

もう一度検索