フォガット

フォガット (Foghat): アメリカン・ロックに傾倒した英国バンドの軌跡

フォガットは、1970年代初頭にイギリスで結成されたロックバンドです。サヴォイ・ブラウンのメンバーだったデイヴ・ペヴァレット、ロジャー・アール、トニー・スティーヴンズが脱退し、ロッド・プライスを加えて結成されました。彼らの音楽は、イギリス出身でありながら、アメリカン・ロック、特にサザンロックの影響を強く受けた、土臭くハードなサウンドが特徴です。アメリカを拠点に活動し、「Fool for the City」などのヒット曲で人気を博しました。

結成から黄金期

1971年、サヴォイ・ブラウンを脱退したメンバーを中心にフォガットが結成されます。1972年には、アメリカのベアズヴィル・レコードからアルバム『フォガット』でデビュー。トッド・ラングレンがプロデュースしたこのアルバムには、マディ・ウォーターズのカバー「I Just Want To Make Love To You」のハードロック・バージョンが収録され、彼らの代表曲の一つとなりました。

翌1973年には、セカンド・アルバム『フォガット』を発表。ジャケットに石とロールパンがあしらわれていることから、「ロックン・ロール・アルバム」とも呼ばれています。1974年の3枚目のアルバム『電撃のフォガット』では、「ハニー・ハッシュ」など、よりハードなナンバーが収録され、フォガット・サウンドの進化がうかがえます。

4枚目のアルバム『ロックン・ロール・アウトローズ』の後、トニー・スティーヴンズが脱退。ニック・ジェイムソンが加入し、5枚目のアルバム『フール・フォー・ザ・シティ』(1975年) をリリース。「スロウ・ライド」が全米トップ40入りするなど、バンド最大のヒット作となりました。その後、ジェイムソンが脱退し、クレイグ・マクレガーが加入。ライブ・アルバム『フォガット・ライブ』(1977年) は、バンドの絶頂期を象徴する作品となりました。

1978年の『ストーン・ブルー』では、ロバート・ジョンソンの「スウィート・ホーム・シカゴ」をカバー。ロッド・プライスのスライド・ギターが光るハードなアレンジで、フォガットらしいブギ・サウンドを聴かせました。

1980年代：解散、そして再結成

1980年代に入ると、バンドは徐々に勢いを失い、ロッド・プライスが脱退。新ギタリスト、エリック・カートライトを加えて活動を継続しますが、1985年には事実上解散状態となります。

1980年代後半、ロジャー・アールが独自にフォガットを再結成。これに対抗してデイヴ・ペヴァレットも別のフォガットを結成し、2つのフォガットが並行して活動するという状況が生まれます。1994年、オリジナル・メンバーが再集結し、アルバム『ザ・リターン・オブ・ザ・ブギー・マン』をリリースしました。

オリジナル・メンバーの死とその後

2000年、バンドのリーダーだったデイヴ・ペヴァレットが癌で死去。バンドの存続が危ぶまれましたが、元テッド・ニュージェント・バンドのチャーリー・ハーンを迎え、活動を継続。2005年にはロッド・プライスが事故死するという悲劇に見舞われました。

2010年代以降

2018年には、長年のベーシストだったクレイグ・マグレガーが肺がんで死去。ロドニー・オクィンが後任として加入しました。2021年にはライブ・アルバム『8 Days On The Road』をリリース。2022年にはチャーリー・ハーンが引退し、スコット・ホルトが加入。2023年には7年ぶりのスタジオ・アルバム『Sonic Mojo』をリリースしています。

バンド名の由来

「Foghat (霧の帽子)」というユニークな名前は、デイヴ・ペヴァレットが子供の頃、兄とスクラブルで遊んでいた時に作った造語です。

フォガットは、メンバーの死や交代を乗り越えながら、現在も活動を続けています。彼らの音楽は、アメリカン・ロックのルーツに根ざした、パワフルで骨太なサウンドであり、多くのファンを魅了し続けています。

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