フォゲッタブル

フォゲッタブル：忘れがたい競走馬の軌跡

2006年4月3日生まれの競走馬、フォゲッタブル。その名は「忘れがちな」を意味し、皮肉にも、彼の輝かしい競走生活は、競馬ファンにとって決して忘れられないものとなりました。2億4500万円という高額で取引されたサラブレッドは、数々の重賞レースでその実力を発揮し、競馬史に名を刻みました。

華麗なるデビューと若かりし日の活躍

北海道安平町のノーザンファームで誕生したフォゲッタブルは、2007年のセレクトセールで金子真人ホールディングスに落札されます。3歳となった2009年、メイクデビュー京都でデビュー。高い期待を受けての初陣でしたが、結果は5着。その後も、幾多のレースを経験し、着実に力をつけていきます。すみれステークスでは5着に敗れましたが、7月の生田特別で初勝利を挙げます。

夏には新潟遠征も敢行。阿賀野川特別では2着と好走し、続くセントライト記念でも3着に入線。僅差ながら、菊花賞への優先出走権を獲得しました。菊花賞では7番人気ながら、スリーロールスにハナ差及ばず2着。ダンスインザダーク産駒同士によるワンツーフィニッシュという結果となりました。

そして、第43回ステイヤーズステークス。新たな鞍上、クリストフ・スミヨン騎手とのコンビで挑んだこのレースで、フォゲッタブルは重賞初制覇の栄冠を掴みました。続く有馬記念では、スミヨンの騎乗停止によりルメール騎手に乗り替わり4着と健闘しました。

4歳時：ダイヤモンドステークス制覇と天皇賞への挑戦

4歳を迎えたフォゲッタブルは、2010年2月14日、武豊騎手とのコンビでダイヤモンドステークスに挑み、見事勝利を収めます。ステイヤーズステークスに続く重賞2勝目でした。続く阪神大賞典への出走が予定されていましたが、より多くの賞金を獲得し、万全の状態で挑むため、天皇賞（春）に直行する戦略がとられました。しかしながら、天皇賞（春）では出遅れが響き6着に終わります。宝塚記念でも10着と結果を残せず、悔しいシーズンとなりました。

秋シーズンでは、京都大賞典6着、ステイヤーズステークス5着、有馬記念10着と、連覇を目指したステイヤーズステークスでは結果を残せませんでした。

5歳以降：転厩と現役生活の終焉

5歳からは池江泰寿厩舎に移籍。しかし、大阪-ハンブルクカップ12着、天皇賞（春）16着、目黒記念12着、宝塚記念15着と苦戦が続きます。秋シーズンも京都大賞典5着、アルゼンチン共和国杯8着、ステイヤーズステークス7着と、かつての輝きを取り戻すことができませんでした。

6歳シーズンも京都大賞典5着、アルゼンチン共和国杯12着、ステイヤーズステークス10着と振るわず、7歳シーズンも万葉ステークス6着、ダイヤモンドステークス、阪神大賞典、天皇賞（春）と出走するも勝利には届きませんでした。そして、2013年6月1日、競走馬登録を抹消。現役生活に幕を閉じます。

引退後：第二の人生

引退後はノーザンホースパークで乗馬として余生を送り、後に馬術の障害飛越競技にも参加するなど、新たな才能を開花させました。

華麗なる血統

フォゲッタブルの血統は、まさにサラブレッド界の王族と言えるでしょう。母はGI2勝馬エアグルーヴ、祖母はオークス優勝馬ダイナカール。半姉にはエリザベス女王杯2勝馬アドマイヤグルーヴ、全兄には高額で取引されたザサンデーフサイチ、半弟にはクイーンエリザベス2世カップ優勝馬ルーラーシップ、半妹にはマーメイドステークス優勝馬グルヴェイグと、そうそうたるメンバーが名を連ねています。

フォゲッタブルの競走生活は、華々しい勝利と惜敗、そして引退後の穏やかな日々を通して、競馬ファンに多くの感動を与えてくれました。彼の物語は、競走馬としての栄光と、その後の穏やかな余生、そして類まれな血統という、忘れがたい要素が詰まった、まさに「忘れられない」存在であると言えるでしょう。

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