フォルクスワーゲン・ジェッタ

ジェッタ:ゴルフをベースとしたグローバルセダン



フォルクスワーゲン社が北米を中心に、欧州、中南米、アジア、オセアニアで販売するジェッタは、主に4ドアセダンをラインアップするCセグメントの乗用車です。ベース車両はフォルクスワーゲンのベストセラーモデルであるゴルフであり、パサートやシロッコ同様、車名は風の名称に由来しています。ジェッタという名前は、ジェット気流にちなんで名付けられました。

ジェッタは世界中で販売されていますが、地域によってヴェント、ボーラ、サギターなど、様々な名称で呼ばれています。また、北米とその他の地域(欧州、日本など)では、ジェッタの世代数に違いがありますが、ここではゴルフをベースとしたセダンとしての世代数を、北米での世代数に準拠して記述します。

各世代の特徴



初代ジェッタ (ゴルフIベース): ゴルフIをベースに開発された初代ジェッタは、独立したトランクルームを持つノッチバックセダンでした。北米市場や保守的な層をターゲットに、ゴルフの丸型ヘッドライトとは異なり角形ヘッドライトを採用。ゴルフとパサートの中間モデルとして位置付けられました。ボディタイプは2ドアと4ドアがあり、最大の特徴はクラス最大となる630Lの広いトランク容量でした。日本には1981年にヤナセを通じて導入され、上級グレードのGLEが販売されました。エンジンは1.7L直列4気筒SOHCインジェクションで、78馬力を発揮しました。

2代目ジェッタ (ゴルフIIベース): ゴルフIIをベースとした2代目は、初代ジェッタのデザインを継承し、角形2灯式ヘッドライトが特徴でした。ボディタイプは2ドアと4ドアが用意され、トランクはハイデッキ化され、空力特性と容量が向上。VDA方式測定で575リットルという、当時の3ボックス車世界最大容量を誇りました。日本へは1985年から1992年までヤナセが正規輸入し、1.8Lガソリン仕様と1.6Lディーゼルターボ仕様が展開されました。様々なグレードが設定され、フルタイム4WDモデルも存在しましたが、左ハンドルMTのみの設定だったため、正規輸入は途中で終了しました。中国では、一汽大衆によって生産され、タクシー用途などで広く使われていました。

3代目ジェッタ (ゴルフIIIベース): ゴルフIIIをベースとした3代目は、ゴルフIIIの異形丸形4灯式ヘッドライトとは異なり、引き続き角形2灯式ヘッドライトを採用。ボディタイプは4ドアセダンのみとなりました。ジェッタとして初めて狭角V型のVR6型エンジンを搭載しました。日本を含む世界各国では「ヴェント」として販売されましたが、北米では「ジェッタ」の名前が維持されました。

4代目ジェッタ (ゴルフIVベース): ゴルフIVをベースとする4代目は、4ドアセダンが最初に発売され、後に5ドアのステーションワゴンが追加されました。(日本未導入)プロジェクター式ヘッドライトにフォグランプとウィンカーが内蔵され、Cピラーが寝かせられたデザインは、従来モデルよりエレガントな印象を与えていました。日本仕様には、2.0L直列4気筒、2.3L V型5気筒、2.8L V型6気筒4MOTIONのエンジンが用意されました。世界的には「ボーラ」として販売されましたが、北米ではジェッタの名前が継承されました。日本には4ドアセダンのみが導入されました。

5代目ジェッタ (ゴルフVベース): ゴルフVをベースとした5代目は、世界中で「ジェッタ」という車名に統一されました。ただし、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、チリ、中国など一部地域では、それぞれボーラ、ヴェント、サギターという異なる名称が使用されました。ボディタイプは4ドアセダンと5ドアステーションワゴンがあり、フロントデザインはゴルフV GTIとほぼ共通で、角形ヘッドライトは廃止されました。日本市場では、2.0L NAエンジンと2.0Lターボエンジン搭載モデルが販売されました。ステーションワゴンは「ジェッタ・スポーツワーゲン」として販売されましたが、欧州や日本ではゴルフ・ヴァリアントとしてゴルフシリーズに統合されました。

6代目ジェッタ (ゴルフVIベース): 北米市場のニーズに合わせて、全長とホイールベースが拡大され、後部座席の居住性が向上した6代目は、北米で発表されました。これにより、ゴルフとのホイールベースが一致しなくなり、ボディパネルの共有もなくなりました。北米では3種類のガソリンエンジンと1種類のディーゼルエンジン、欧州では4種類のガソリンエンジンと2種類のディーゼルエンジンが用意されました。セダン市場の縮小により、日本市場には導入されませんでした。

7代目ジェッタ: 2018年の北米国際自動車ショーで発表された7代目は、全長4700mmを超える大型セダンで、北米市場専用モデルです。日本と欧州市場では販売されていません。

まとめ



ジェッタは、ゴルフをベースとした信頼性の高いパワートレインと、世代ごとに進化するスタイリッシュなデザイン、そして広いトランク容量が魅力のセダンです。世界中で販売され、地域によって異なる名称を持つことからも、そのグローバルな人気が伺えます。各世代の特徴を理解することで、ジェッタの歴史と魅力をより深く知ることができるでしょう。

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