フォード・Ka

フォードKaの歴史

フォードKa（フォード・カー）は、欧州フォードが開発・製造したコンパクトカーです。その車名は、「生命の樹」を意味する古代エジプトの象形文字に由来し、このクルマのコンセプトを象徴しています。

初代（1996年 - 2008年）

1996年のパリサロンで発表された初代Kaは、フォード・フィエスタのプラットフォームをベースに、当時のフォードが提唱した「ニューエッジデザイン」を採用し、斬新なスタイリングが特徴でした。しかし、エンジンには1958年開発のケントエンジンを改良した1.3リッターOHV「エンデュラEエンジン」が搭載され、古風な設計が採用されていました。

2002年には、SOHCの新型「デュラテックエンジン」に換装され、その後も高性能版「スポーツKa」や、オープントップモデルの「ストリートKa」などが追加されました。特に「ストリートKa」はピニンファリーナとの共同製作で、約2年間生産されました。

2002年にフィエスタがフルモデルチェンジした後も、Kaは車体の変更なく生産が続けられ、フォードの最小セグメントを担うモデルとして好調なセールスを記録しました。また、3代目フィエスタが登場するまでは、初心者向けラリーカーのベースとしても多く用いられました。

南米仕様

南米では、ブラジルの工場で生産されたモデルが販売されました。欧州仕様との主な違いは、外観（フロントライト、ブレーキランプの形状など）と、防音対策の軽減によるコストダウンです。エンジンは1.6リッターのZetecエンジンが搭載されました。

日本仕様

日本仕様は1999年1月28日に発表され、150万円で販売が開始されました。1.3リッターOHV「エンデュラEエンジン」を搭載した右ハンドルの5速マニュアル車が輸入されました。高温多湿な日本の気候に対応するため、大型のラジエーターやエアコンユニットが搭載され、前バンパーが新設計されました。その他、電動サンルーフやドアミラー調整リモコン、パワーウィンドウなどが装備され、日本仕様は装備面で充実していました。ボディカラーは全6色が用意され、スペインのバレンシア工場で生産されました。CMキャラクターには小室哲哉とglobeが起用されました。

1999年4月1日には、CMキャラクターの小室哲哉の公式ウェブサイトで、黄色い特別仕様車「イエローKa」の予約が開始されました。2000年末には実質的な大幅値引キャンペーンが行われましたが、期待されたほどの成果は得られず、販売はわずか2年ほどで終了しました。キャッチコピーは「乗れたらエライ」でした。

日本導入時には、ラリー仕様のPR車両も製作されました。外装からエンジンに至るまで競技向けに改造が施され、公道での走行はできませんでした。販売終了後、自動車誌「カーグラフィック」のイベントでオーナーが募集され、抽選で一般者に引き渡されました。

CM

初代のスポーツモデル「SportKa」のCMは、イギリスなど一部の国で奇抜なものが用いられました。鳥が車の鼻先に飛び乗った瞬間にボンネットが開き跳ね殺したり、猫の首をサンルーフで切断するといった内容で、物議を醸しました。これらの映像はCG合成で、動物は死んでいないとされています。キャッチコピーは「The Ka's Evil Twin」でした。

2代目（2008年 - 2016年）

2008年には、フィアットと共同開発された2代目が登場しました。コストを抑えるために、メカニズムの大半や内外装の一部のパーツがフィアット500と共有されています。エンジンは1.2Lガソリンと1.3Lディーゼルの2種類が用意され、生産はフィアット500とともにポーランドのティヒにある工場で行われました。

3代目（2014年 - 2021年）

2014年7月に登場した3代目は、フォードブラジルが中心となって開発されました。先代よりも全長が約300mm長く、幅が約20mm広くなり、居住スペースと荷室が拡大しました。これにより、セグメントはAセグメントからBセグメントに格上げされました。ボディタイプは5ドアハッチバックと4ドアセダンが用意され、初代から設定されていた3ドア車は廃止されました。仕向け地によって名称が異なり、インドやメキシコでは「フィーゴ（Figo）」、欧州圏やブラジルでは「カープラス（Ka+）」と呼ばれています。