フクギ科

フクギ科（Clusiaceae）は、世界の熱帯地域に広く分布する常緑性の木本植物の科です。この科は、14の属と約595種から構成されており、多様な植物を含んでいます。特に、フクギ属（Garcinia）には、マンゴスチンをはじめとする重要な果樹が数多く含まれています。

日本においては、フクギが南西諸島や小笠原諸島に自生しており、地域によっては防風林や庭木としても利用されています。

分類

フクギ科の分類は、植物分類体系によって扱いが異なります。クロンキスト体系では、フクギ科はオトギリソウ科（Clusiaceae）のフクギ亜科（Clusioideae）として扱われていました。この体系では、オトギリソウ科の広義の学名としてClusiaceaeが用いられていましたが、APG植物分類体系では、狭義のオトギリソウ科にはHypericaceaeという学名が与えられ、フクギ科は独立した科として扱われるようになりました。

系統的には、フクギ科はヤチモクコク科（Bonnetiaceae）と姉妹群を形成しています。これは、両科が共通の祖先から進化したことを示唆しています。

属

フクギ科には、種数の多い属がいくつか存在します。主な属としては、以下のものがあります。

フクギ属 (Garcinia): 約240種を含み、マンゴスチンやフクギなどがこの属に属します。
Clusia属: 300から400種もの種を擁する大きな属です。多様な形態を持つ植物が含まれます。
Chrysochlamys属: 約50種を含み、熱帯アメリカに分布する植物です。



フクギ科は、以下の３つの連に分類されます。

Clusieae連
Chrysochlamys属 - 約50種
Tovomita属
Clusia属 - 300-400種
Dystovomita属
Tovomitopsis属

Garcinieae連
Allanblackia属
フクギ属 (Garcinia) - マンゴスチン・フクギなど240種

Symphonieae連
Montrouziera属
Platonia属
Moronobea属
Lorostemon属
Pentadesma属
Symphonia属
Thysanostemon属

系統関係

Ruhfel et al. (2011)による系統解析では、フクギ属（Garcinia）が側系統群である可能性が示唆されています。これは、フクギ属の中に、共通の祖先から進化したすべての種が含まれていないことを意味します。また、Tovomita属も単系統群ではないことが示唆されています。

さらに、Allanblackia属*はフクギ属の中に含まれる可能性も指摘されており、フクギ属の分類には更なる研究が必要とされています。

これらの系統解析の結果は、フクギ科の進化的な関係を理解する上で重要な情報を提供しています。今後も分類に関する研究が進むことで、フクギ科の植物の多様性と進化の歴史がより深く解明されることが期待されます。

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