マンゴスチン

マンゴスチン：果物の女王のすべて

マンゴスチン (学名: Garcinia mangostana) は、東南アジア原産の常緑高木です。マレーシアを原産地とするこの植物は、古くからその美味なる果実で人々を魅了してきました。タイ語ではマンクット、ベトナム語ではマンクッ、中国語では莽吉柿と呼ばれ、地域によって様々な呼び名を持つマンゴスチンは、英語ではmangosteenとして知られ、その名声は世界中に広がっています。

マンゴスティンの特徴

マンゴスチンは高さ7～25メートルに達する高木で、樹冠は円形または円錐形を呈します。樹皮は褐色から黒色で、内側には黄色の樹液を含んでいます。葉は対生し、卵形または長円形で、長さ8～15センチメートル、厚く革質で光沢があります。

花は直径2.5～5センチメートルで、雄花と両性花があります。両性花は若い枝の先端に1～2個付き、萼と花弁は4枚で、赤色や淡桃色をしています。果実は直径4～8センチメートルの球形で、表面は滑らかです。熟した果実は暗赤紫色で、厚く硬い果皮に覆われています。

果肉は、白い仮種皮で、ミカンの房のように4～8個に分割されています。各房には種子が1個ありますが、発芽能力を持つ種子は通常1個だけです。

栽培と分布

マンゴスチンは東南アジア、南アジア、そして一部の中南米で栽培されています。タイは特にマンゴスティンの主要な輸出国として知られています。ヨーロッパの人々にも愛好され、熱帯各地への導入が試みられてきましたが、日本では沖縄など一部地域で熱帯果樹栽培が行われていますが、マンゴスティンの栽培は成功していません。

栽培は通常、実生で行われます。幼木のうちは日陰が必要で、結実するまでには10年前後と時間がかかります。成長には高濃度の施肥が必要で、酸性土壌と良好な排水が必要です。また、短期間の乾燥には耐えられますが、通年の降雨または灌漑が必要です。成木では、1000～3000個もの果実が収穫できます。

品種と近縁種

マンゴスチンは雑種起源の倍数体で、無性生殖をすると言われています。そのため、明確な品種は知られていません。

マンゴスチンはフクギ属(Garcinia)に属し、この属には約100種が存在します。中にはマンゴスティンの台木として利用される種もあります。日本では、フクギ(G. subelliptica)が防風林や防潮林として利用されています。

利用方法

マンゴスティンの最も一般的な利用方法は、果実を食用とすることです。甘く、上品な風味を持つマンゴスティンは、『果物の女王』と称されます。生食が一般的ですが、ジュース、ゼリー、缶詰などにも加工されます。

果皮は、下痢や皮膚病の治療に用いられたり、保湿効果や動脈硬化予防効果が期待されています。葉は乾燥させてお茶として利用され、皮は染料としても使われます。さらに、マンゴスティンの外皮に含まれるキサントンというポリフェノールには、がん抑制効果があることが報告されています。

高級ホテルでは、ドリアンと共に持ち込みが禁止されているケースがあります。ドリアンの強烈な臭いだけでなく、マンゴスティンの果皮に含まれる赤い色素が、家具や絨毯を汚す可能性があるためです。

食用と流通

マンゴスチンはデリケートな果物で、収穫後すぐに劣化が始まります。高湿度・低温で保存することで日持ちを延ばせますが、原産国では気温が高いため、数日で劣化してしまうことも珍しくありません。日本では生、冷凍、シロップ漬けの缶詰などで入手できますが、ミバエの侵入を防ぐため、生のマンゴスティンを輸入するには厳しい規制があります。2023年にはタイからの輸入条件が緩和され、熱処理なしでの輸入が可能になりましたが、依然として高価です。

まとめ

マンゴスチンは、その独特の風味と栄養価から、世界中で高く評価される果物です。しかし、その栽培や流通には多くの課題があり、高価な高級果物として扱われることが多いのが現状です。今後、栽培技術の向上や輸入規制の緩和などによって、より多くの人々がマンゴスティンの魅力を味わえるようになることを期待しましょう。

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