フラアンジェリコ

フラアンジェリコ：重賞勝利までの道のりと引退後の日々

2008年生まれの競走馬、フラアンジェリコ。その名は、天使のような修道士を意味する画家グイード・ディ・ピエトロの通称名に由来しています。競走生活は決して順風満帆ではありませんでしたが、持ち前の潜在能力と粘り強さで、最終的に重賞競走を制覇するまでに至りました。

2歳時にデビュー。当初は芝で走り、その後ダートに転向するなど、試行錯誤を繰り返しながら経験を重ねていきます。3歳で初勝利を挙げると、地道に条件クラスを勝ち上がり、5歳春からは再び芝へ。そして6歳にして、五稜郭ステークスを制し、オープン入りを果たしました。31戦目でのオープン入りは、決して恵まれたキャリアとは言えませんが、その努力が実を結んだ瞬間でした。続く福島記念では、単勝40.3倍という伏兵扱いながら2着と健闘し、高い潜在能力を周囲に印象付けました。

7歳シーズンは、重賞初制覇への挑戦が続きます。七夕賞、ダービー卿チャレンジトロフィーと2つの重賞で二桁順位に終わるなど、京成杯オータムハンデキャップでは単勝62.7倍という人気薄の13番人気に甘んじます。しかし、このレースで、持ち前の粘り強さと軽量53キロのハンデを生かし、最後の直線でライバルを差し切り、見事重賞初制覇を成し遂げました。10番人気だったエキストラエンドをゴール寸前で捉え、7番人気だったヤングマンパワーが3着に入るという波乱の結果となり、三連単は222万7820円の高額配当となりました。この勝利は、長年の努力と決して諦めない精神の結晶と言えるでしょう。

その後、GI競走であるスプリンターズステークスに挑戦するも15着と結果を残せず、その後も思うような成績を収めることができず、2016年5月25日付で競走馬登録を抹消、引退することとなりました。

引退後は北海道苫小牧市のノーザンホースパークで乗馬として第二の人生を歩み始めます。現在は三重県伊賀市のクレイン三重で繋養され、余生を穏やかに過ごしているとのことです。

フラアンジェリコの血統背景も非常に興味深いものです。半姉には阪神牝馬特別、マイラーズカップを制したエガオヲミセテ、半兄には高松宮記念、京王杯スプリングカップを制したオレハマッテルゼという、いずれもG1競走で活躍した名馬がいます。祖母は優駿牝馬（オークス）優勝馬のダイナカール。さらに叔母には、優駿牝馬を含む重賞7勝を挙げたエアグルーヴという、数々の活躍馬を輩出した名門一族に生まれたサラブレッドなのです。その血統背景からも、フラアンジェリコの潜在能力の高さが伺えます。

フラアンジェリコの競走生活は、決して華やかなものではありませんでしたが、持ち前の粘り強さと、そして恵まれた血統を受け継いだ才能によって、数々の困難を乗り越え、最終的には重賞競走優勝という栄光を手にしました。その努力と実績は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けていると言えるでしょう。そして、引退後も新たな場所で穏やかな余生を送っていることは、多くのファンにとって嬉しい知らせです。

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