フライング・タイガー・ライン739便失踪事故

フライング・タイガー・ライン739便失踪事故

1962年、アメリカ本土から南ベトナムへ向かっていたフライング・タイガー・ライン739便が、グアムとフィリピンの間で消息を絶った航空事故です。この事故では、乗員乗客107名全員が死亡したと推定されていますが、機体は発見されておらず、事故原因は現在も特定されていません。

事故の概要

フライング・タイガー・ライン739便は、ロッキードL-1049Hスーパーコンステレーション（機体記号：N6921C）で運航されていました。この便は、アメリカ陸軍空輸サービス（MATS）の委託を受け、南ベトナムのサイゴンへアメリカ軍兵士を輸送する任務を担っていました。

カリフォルニア州のトラビス空軍基地を出発した739便には、民間人の乗員11名に加え、ジョン・F・ケネディ政権による南ベトナムへの派兵決定を受けて派遣されるアメリカ軍兵士93名、さらに南ベトナム軍兵士3名が搭乗していました。合計107名の乗員乗客を乗せた739便は、経由地のグアム・アンダーセン空軍基地から、フィリピン・マニラのクラーク空軍基地に向けて出発しました。

離陸後、夜間飛行中の739便は、高度18,000フィート（約5,500メートル）を巡航しているとの交信を最後に消息を絶ちました。事故発生後、大規模な捜索活動が1週間にわたって行われましたが、航空機や船舶による捜索にもかかわらず、機体の痕跡は一切発見されませんでした。そのため、搭乗者全員が死亡したものと判断されました。

事故原因の推測

事故発生から時間が経過した後、フィリピン東方1,300kmを航行していた船舶の乗組員から、興味深い証言が得られました。その乗組員によると、739便が消息を絶ったとされる同時刻頃、空中で何かが爆発し、二つの火の玉となって海面に落下するのを目撃したとのことでした。この証言から、739便が何らかの原因で空中分解し、墜落した可能性が考えられています。しかし、機体の残骸やその他の物証が一切発見されなかったため、事故の原因は依然として不明のままです。

事故の教訓

フライング・タイガー・ライン739便の失踪事故は、航空事故調査の難しさを浮き彫りにしました。機体が発見されなかったため、事故原因を特定することができず、多くの謎が残されています。この事故は、現代の航空安全基準を向上させる上で重要な教訓を与えたと言えるでしょう。航空機の安全性を高め、同様の悲劇を繰り返さないために、今後も技術開発と調査研究を継続していく必要性を訴えかけています。

関連事故

ヴァリグ・ブラジル航空967便遭難事故：本件と同様に、機体が発見されず、原因が特定されていない航空事故です。
マレーシア航空370便墜落事故：2014年に発生した航空機失踪事故で、こちらも機体が発見されず、多くの謎が残っています。

参考文献

デビッド・ゲロー著「航空事故」（増改訂版）イカロス出版、1997年

外部リンク

Aviation Safety Network

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