フラウィウス・ヨセフス

ティトゥス・フラウィウス・ヨセフス

ティトゥス・フラウィウス・ヨセフス（37年頃 - 100年頃）は、帝政ローマ時代の著名な政治家であり作家です。彼は歴史的な事象、特にユダヤ戦争の記録を通じて多くの貴重な文献を残しました。ヨセフスは元々ユダヤの祭司の家系に生まれ、彼の生涯は多くの宗教的、政治的な変遷を経ました。

生涯の始まり

ヨセフスはエルサレムで生まれ、本名はヨセフ・ベン・マタティアフです。本人の語るところによると、彼は青年時代にサドカイ派やエッセネ派を経てファリサイ派に至りました。64年、彼はユダヤ人の使節団としてローマに行く機会を持ち、そこでネロ帝妃ポッパエア・サビナの友人を得ました。

ユダヤ戦争の経験

66年から始まったユダヤ戦争において、彼はエルサレムを防衛するためにガリラヤ地方に派遣されました。その最中、戦闘で敗れ、自決を選ぶ仲間たちに説得され投降することとなります。ローマ軍の司令官ウェスパシアヌス（後の皇帝）の前で、彼は将来の皇帝を予言し、その結果、命を助けられました。混乱期を経てウェスパシアヌスが皇帝に即位すると、彼はその息子ティトゥスの幕僚に重用され、70年のエルサレム陥落を目撃します。

文献活動

彼は71年にローマへ移り住み、その後一生をローマで過ごしながら、厚遇を受けました。彼は75年から80年にかけて自身の経験をもとに『ユダヤ戦記』という歴史書を執筆し、広く評価されました。彼によれば、この作品にはアラム語版が存在し、それを基にギリシャ語へと翻訳されていますが、アラム語版は現存していません。さらに、95年頃には『ユダヤ古代誌』を完成させ、ユダヤ人の歴史を詳細に記録しました。この書には「フラウィウス証言」と呼ばれるイエスに関する記述も含まれ、後世において論争の対象となりました。

生涯の苦悩

ヨセフスの生涯は、見かけ上は成功に満ちているように見えたものの、彼は裏切り者という烙印を押され、ユダヤ人やローマ人からの批判に悩まされ続けました。このことが彼の著述活動に拍車をかける一因ともなったのです。彼は100年頃、ローマで死去したとされています。

家族

ヨセフスは生涯に4度結婚し、5人の息子をもうけましたが、彼の子孫に関する詳細はほとんど不明です。最初の妻についての情報は乏しく、彼の2番目の妻はユダヤ人女性でしたが、再婚後すぐに離婚します。3番目の妻との間に3人の息子が生まれましたが、後に彼の習慣に不満を持ち離婚しています。4番目の妻との間にも二人の息子がいましたが、彼らの後の人生についての記録は残っていません。

著作物

• - 『ユダヤ戦記』: ユダヤ戦争の詳細を綴っています。
• - 『ユダヤ古代誌』: ユダヤ民族の歴史を網羅しています。
• - 『アピオーンへの反論』: ユダヤ教に関する著作です。
• - 『自伝』: 自身の経歴を語る自伝的作品です。

このように、ティトゥス・フラウィウス・ヨセフスは、彼の著作を通じて古代ユダヤ及びローマの歴史に大きな影響を与え続けています。

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