フランシス・ベアリング (初代準男爵)

初代準男爵サー・フランシス・ベアリングの生涯と業績

初代準男爵サー・フランシス・ベアリング（1740年4月18日 - 1810年9月12日）は、イギリスの銀行家および政治家であり、ベアリングス銀行の創設者として広く知られています。彼は貴族家系であるベアリング家の初代であり、その業績はイギリスの金融史において重要な位置を占めています。

生い立ちと教育

フランシス・ベアリングはドイツ・ブレーメンに生まれました。彼は商人である父ジョン・ベアリングと母エリザベスの七男としてエクセターのラークビーアで育ちました。若いころ、フランシスは商務を学ぶためにロンドンのベーム商店に送られ、その経験が後の銀行業における成功に繋がりました。

ベアリングス銀行の設立と成長

1762年、フランシスはロンドン・シティにベアリングス銀行を創設しました。この銀行は当時でも最も古いマーチャント・バンクの一つとされ、急速に成長する大英帝国の貿易に貢献し、多くの商人たちに資金を提供しました。特に、イギリスの貿易商人たちの手形を引き受けることで大成功を収め、1793年にはロンドンにおける最有力の引受業者へと成長しました。

対仏戦争の時期には、イギリス戦時公債の最大の引受会社としてその地位を確立しました。これによりフランシスは多大な利益を上げ、金融業界の重鎮となりました。

政治活動と公職

フランシスは銀行業の他にも多くの公的な役職に就いていました。王立取引所保険会社やイギリス東インド会社の役員としても活躍し、また1760年代から1800年代初頭にかけては、グランパウンド、ウィカム、カーンの各選挙区から庶民院議員に選出されました。彼は野党ホイッグ党のアドバイザーを務める傍ら、首相小ピットと友好関係を築いていました。

1793年5月には「ロンドンのベアリング準男爵」として叙任され、貴族としての地位を確立しました。

晩年と家族

19世紀に入ると、フランシスは銀行業から引退し、長男トマスと二男アレクサンダー、三男ヘンリーが彼の事業を引き継ぎました。1807年、銀行名を「ベアリング・ブラザーズ」に改名し、長男トマスが準男爵位を継承しました。

フランシスは1767年にウィリアム・ヘリングの娘ハリエットと結婚し、5人の息子と5人の娘をもうけました。その後も彼の家族は英国における貴族の地位を維持し続け、次男アレクサンダーはアシュバートン男爵に、長男トマスの子孫はノースブルック男爵に昇格しました。

1810年、フランシス・ベアリングはケントのリーにて生涯を閉じました。彼の業績は今尚、金融業界において影響を与え続ける存在であり、ベアリング家の名はイギリスの歴史に刻まれています。

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