フランシス・リンドリー

サー・フランシス・オズワルド・リンドリー

サー・フランシス・オズワルド・リンドリー（Francis Oswald Lindley）は、1872年に生まれ、1950年に他界したイギリスの外交官です。1931年から1934年まで東京で駐日英国大使を務め、彼の長いキャリアの中で様々な国際的な局面に関与しました。

経歴

リンドリーは1872年6月12日、ナサニエル・リンドリー男爵の息子として誕生しました。オックスフォード大学を卒業した後、外務省に入り、日本においては1905年から1908年にかけてクロード・マクドナルド大使の下で2等書記官として駐日英国大使館に勤務しました。彼の外交キャリアは、その後多くの国での任務を経て、時代の大きな転換点を迎えました。

ソヴィエト連邦の成立時にはリガに駐在し、彼はソヴィエトの領土拡張主義に警戒感を抱いていました。以降、リンドリーは1920年から1921年に駐オーストリア大使を、1922年から1923年には駐ギリシャ大使を、さらには1923年から1929年までは駐ノルウェー大使、そして1929年から1931年まで駐ポルトガル大使を歴任した後、日本への赴任となります。

駐日大使としての活動

リンドリーが東京に着任した際、当時の大使公邸は関東大震災によって焼失し、再建中でした。そのため、任期の初めは中禅寺湖にある大使別荘で過ごすこととなりました。彼は1931年9月3日付のタイムズ紙への手紙で、日本政府が中華民国との摩擦を避けようとする姿勢から楽観的に見ていたことを示しましたが、その直後、9月18日には満州事変が発生しました。この事態に対して、リンドリーは懸念を抱きつつも、その対応を見守ることとなります。

満州事変が拡大し、中国は国際連盟による解決を求めましたが、リンドリーはその提案が現実的ではないと考えていました。この時、彼は特に国際連盟の英国代表であったロバート・セシル卿に対して懐疑的であり、彼との関係が日英関係に影響を与えることになります。日本における英国に対する感情は悪化し、1932年の第一次上海事変でも、リンドリーは日本の行動が制限的であると予測していました。

リンドリーは、リットン調査団の報告書に対しても批判的で、彼自身の判断が日本の影響力を慎重に評価するものであったことを示しています。彼は「日本びいき」との非難に遭いながらも、極東におけるイギリスの利益を守るための努力を続けました。

日英関係の改善活動

サー・フランシス・オズワルド・リンドリーは、1933年春に英国に賜暇を得た後も、日英関係の改善に向けた活動を続けました。日本に戻った後、彼は新外務大臣の広田弘毅に対して両国の友好関係を保持するための努力を挙げ、外交政策の重要性を訴えました。彼の取り組みは、一定の成果を挙げたとされています。

1934年4月28日、リンドリーは東京を去り、外交官としてのキャリアを終えました。その後、1935年から1949年にかけてロンドン日本協会の理事長を務めました。

最後の日々

特に彼の生涯の最後は1950年にハンプシャーのオールスフォードで幕を閉じました。リンドリーの外交活動は、時代を超えた日英関係の構築に寄与し、彼の判断力と経験は今もなお評価され続けています。

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