フランスの教育

フランスの教育制度

フランスにおける教育制度は中央集権的であり、教育は主にフランス教育省が管轄しています。この国では、公教育は国家の重要な責務と位置付けられており、6歳から16歳までの教育は義務とされています。この義務教育の制度は、日本とは異なり、保護者ではなく子ども自身に教育を受ける義務が課されています。また、家庭での教育も合法的に認められています。

公教育の義務

フランスの教育における「公教育の義務」は、歴史的にはフランス革命期にその根を持ちます。この時期の啓蒙思想は教育の重要性を強調し、国民全体がその権利を持つことを認識させました。革命家ラボー・サン＝テチエンヌは、教育が人々を啓蒙し、自由を保持する力になると主張しました。

1791年の憲法においても教育の必要性は明記され、これに基づいて教育機関の設立が行われました。この時代には、教育制度の整備と共に、基本的な道徳と技術能力を子どもたちに教えるための小学校の重要性が認識され、理性に基づく知識教育と愛国心に基づく徳育という立場での対立もありました。

政教分離原則（ライシテ）

19世紀後半には、公教育大臣ジュール・フェリーによって、教育の無償化や政教分離の原則が確立されました。1881年には初等教育が無償化され、教育はすべての子どもに平等に提供されました。また、1886年には、「ゴブレ法」によって、公立学校の教師は世俗的な存在であることが求められ、宗教教育の排除が進められました。これにより、道徳や公民教育が重視されるようになりました。

現代の教育制度

今日のフランスの教育制度は、憲法にその基礎があり、教育を享受する権利が国民に保障されています。また、教育を受ける義務についても明文化されています。フランスでは、無償教育政策が進められ、特に初等教育については義務教育が強調されています。教育に関する権利は1989年に新たに制定された教育基本法で確認され、すべての子どもに対して基本的な教育を受ける権利が保障されました。

教育の内容と義務

家庭教育についても厳しい基準が設けられており、家庭教育は学校教育と同じレベルの教育水準を求められます。子どもたちはフランス語、算数、外国語、科学、芸術などの基本的な科目を学ぶことが義務付けられています。教育の不履行については、親に対して罰則が科されることもあります。

教育機関の構成

フランスの教育制度は、初等教育から高等教育まで一貫して提供されています。初等教育は小学校から始まり、続いてコレージュ（中学校）、リセ（高校）という二段階の中等教育があります。コレージュを卒業すると、「国家ディプロマ」が授与されます。リセに進むと、進学するための全般的な高等教育が受けられ、職業専門の教育を希望する場合は職業適性証を取得することができます。

経済的支援

フランスでは、教育に対する国からの支援が充実しており、国立大学は基本的に無償であり、学生に対しては各種奨学金制度が整っています。教育にかかる費用は、国内総生産の約6.3%を占め、EUの平均と同程度であると言われています。

教育機関の運営に関しては国民教育省が管理しており、地理的に分かれた地域単位でそれぞれの教育課程が施行されています。しかし、最近では地方分権も進められており、教育に関するいくつかの権限が地域に移行しています。

教育制度の課題

フランスの教育制度は、依然として解決すべき課題も抱えています。例えば、いじめに関するデータによれば、約10%の生徒がいじめの被害にあっているとされ、これは大きな社会問題となっています。このため、さらなる対策が求められている状況です。フランスの教育制度は複雑な歴史と現代的な挑戦を抱えながらも、国民に基本的な教育を提供することを重視して発展しています。

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