フランス・ブロム

フランス・ブロムの生涯と業績

フランス・ブロム（Frans Blom、デンマーク語: Frants Ferdinand Blom）は、1893年にデンマークのコペンハーゲンで生まれた探検家および考古学者で、特にマヤ文明の研究において多大な貢献を残しました。彼の人生は、真の探求心と革新的な研究によって彩られており、彼が切り開いた道は現在の考古学においても重要な指針となっています。

初期の探求

ブロムは1920年、26歳の時にメキシコへ渡り、石油探索の探検を行いましたが、その過程でマヤ文明に強い興味を抱くこととなりました。これをきっかけにアメリカ合衆国へ移住し、ハーバード大学で考古学を学びました。1922年、彼はタバスコ州のマクスパナにあるラガルテロ遺跡で最初の考古学調査を行います。この調査は、彼の後のキャリアの基盤となりました。

重要な発掘調査

1923年、ブロムはメキシコ国立人類学歴史学研究所（INAH）の後援を受け、パレンケの発掘作業に取り組みました。その後、1924年にはテュレーン大学の中央アメリカ研究所（MARI）でフィールド調査の長に就任し、1926年から1940年まで研究所の所長として活躍します。その間、メキシコと中央アメリカにおけるマヤ地域の多数の考古学調査を指揮しました。

彼が1924年に発見したワシャクトゥンの天文観測施設のグループEや、1925年にオルメカ最大の遺跡であるラ・ベンタの調査といった業績は、学界において重要な意味を持ちました。さらに1930年には、ウシュマルの「尼僧院」と呼ばれる建造物の調査を行い、周囲の遺跡を新たに記録しました。

挫折と再起

ブロムは調査を進めるための基金を設立しようと試みましたが、その試みは失敗に終わります。また、1932年には結婚生活がうまくいかず、妻は彼の仕事への興味を持たなかったため、酒に依存してしまいました。この状況が原因で彼は研究所を去ることになりました。しかし、ブロムは諦めずにメキシコに戻り、チアパス州政府やINAHからの支援を受けながら、研究活動を続けました。

再婚相手となったスイス人の写真家・ジャーナリストであるゲルトルーデ・デュービーとの新たな生活は、ブロムにとって第二の人生のスタートを意味し、夫妻はチアパス州のサン・クリストバル・デ・ラス・カサスの修道院跡を改築します。

カサ・ナ・ボロムとラカンドン族の研究

彼らはその場所を「カサ・ナ・ボロム」（ジャガーの家）と名付け、小さな研究センターとして活動を続けました。ここでブロム夫妻は、ラカンドン族の調査を行い、1955年には共同著作『ラカンドンの森』（La Selva Lacandona）を出版しました。この作品は、ラカンドン族の文化や自然環境について深く掘り下げたもので、彼らの貴重な暮らしを広める役割を果たしました。

晩年と遺産

ブロムは1963年、サン・クリストバル・デ・ラス・カサスで人生の幕を閉じました。彼の住んでいたカサ・ナ・ボロムは、現在は博物館として一般に公開されています。彼の遺産は、マヤ文明の理解を深め、考古学研究の発展に貢献し続けています。ブロムの探求心と情熱は、彼の研究成果を通じて今もなお生き続けています。

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