フランス軍事顧問団 (1867-1868)

第一次フランス軍事顧問団

第一次フランス軍事顧問団は1867年から1868年にかけて日本に派遣された、初の西洋式陸軍訓練のための顧問団です。この顧問団は、明治政府成立後も一部が旧幕府を支持し、戊辰戦争にも参加しました。

背景

黒船来航後の1854年、幕府は老中阿部正弘による軍制改革を進め、軍の近代化に着手しました。しかし、大老井伊直弼の就任により、西洋式軍備の導入は一時的に停滞しました。1860年には幕府陸軍が創設され、対外防衛や国内体制の維持を図りましたが、陸軍の訓練はオランダ陸軍の操典を翻訳したものに留まっていました。

1865年、外国奉行柴田剛中がフランス及びイギリスに派遣され、フランスとの軍事教練や横須賀造船所の建設に関する交渉が行われました。その後、フランス政府から顧問団派遣の承認を得て、1866年11月にマルセイユを出発、1867年には横浜に到着し、歓迎を受けました。

顧問団の構成

顧問団は陸軍大臣ジャック・ルイ・ランドンの指名により、士官6名、下士官9名の計15名で構成され、団長はシャルル・シャノワーヌ大尉が務めました。その後4名が追加され、総勢19名となりました。

• - 団長: シャルル・シャノワーヌ大尉
• - 士官: ジュール・ブリュネ大尉（砲兵教育担当）、アルベール・シャルル・デュ・ブスケ中尉（歩兵教育担当）など。
• - 下士官: ジャン・マルラン軍曹（歩兵教育担当）、フランソワ・ブッフィエ軍曹（歩兵教育担当）など。

訓練

顧問団は1867年12月9日から、幕府のエリート部隊である伝習隊に対し、砲兵・騎兵・歩兵の教練を開始しました。伝習隊には最新装備がありましたが、参加している兵士の質は低く、特に体力不足が指摘されました。

1868年3月には、シャノワーヌが大坂で将軍徳川慶喜に謁見し、陸軍改革の必要性を訴えました。これに応じて幕府は陸軍を組織再編し、顧問団の教練も効果を上げました。9月23日、幕府は顧問団に感謝状を送るなど、その成果を認めました。

しかし、10月の大政奉還や戊辰戦争の勃発により、顧問団は活動を続けることが難しくなりました。

戊辰戦争とその後

戊辰戦争が始まると、顧問団は日本からの撤退を余儀なくされましたが、一部のメンバーは旧幕府に備え、戦争に参加することを選びました。特にジュール・ブリュネ大尉は、蝦夷共和国の創設を支援しました。また、彼らは新政府軍が迫る中、フランス船に逃れる決断をしました。

戊辰戦争の後、顧問団のメンバーは様々な形で日本に留まったり、帰国したりしました。特にデュ・ブスケは明治政府の顧問として活動し、方々に新たな影響を与えました。シャノワーヌは後にフランス軍の高官に昇進し、ブリュネもまた軍部での地位を確保し続けました。

第一次フランス軍事顧問団が日本に及ぼした影響は、その後の近代化の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。彼らの活動は日本とフランスの関係史においても意義深いものと言えるでしょう。

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