フランチェスコ・デル・コッサ

フランチェスコ・デル・コッサ（Francesco del Cossa, 1430年頃 - 1477年頃）は、イタリア初期ルネサンス、クアトロチェントの時代に活躍した画家です。フェラーラ派に属し、特にフレスコ画でその名を馳せました。

前半生

コッサはフェラーラで生まれ、父親は石工のクリストファーノ・デラ・コッサでした。彼の若い頃については不明な点が多いですが、1456年には父親の助手として、フェラーラ司教邸付属礼拝堂の大祭壇にある彫刻や彫像の彩色を手がけた記録が残っています。また、20代後半から30代初めにかけてフェラーラを離れて旅をしていた時期があったこともわかっています。

スキファノイア宮殿の寓意的フレスコ画

コッサの最も有名な作品として挙げられるのは、コズメ・トゥーラと共同で制作したスキファノイア宮殿（エステ家の別荘）のフレスコ画装飾です。この壁画は、1469年から1470年にかけて制作され、占星術の記号と12ヶ月をテーマにした寓意が複雑に組み合わされています。20世紀に一部が修復されたものの、コッサが担当したのはそのうちの3つです。

特に注目すべきは、『5月の寓意、アポロの勝利』です。そこには、春の豊かな実りを象徴する裸の幼児たちが密集して描かれています。また、『4月の寓意』には、裸で踊る3人の美の女神が描かれており、これはポスト古典的な描写の初期の例として特筆されます。この作品は、サンドロ・ボッティチェッリの『プリマヴェーラ』（1482年以降）や、ラファエロ・サンティの『3人の美の女神』（1501年以降）よりも早い時期に制作されたと考えられています。

ボローニャでの活動

フェラーラでは、コッサの仕事に対して面積あたりの報酬が支払われたことや、「フェラーラで最も下手な画家」と扱われたことに不満を感じていました。1470年、コッサはフェラーラを離れ、ボローニャに移ります。ボローニャでは、ベンティヴォーリオ家が彼のパトロンとなり、多くの絵画制作の依頼を受けました。この時期に、『2人の聖者を連れた聖母子とアルベルト・デ・カタネイの肖像』（1474年）、バラッカーノの聖母のフレスコ画、『ジョバンニ・イル・ベンティヴォーリオとマリア・ヴィンツィゲッラの肖像を伴う聖母子』（1472年）などを制作しました。

さらに、サン・ジョヴァンニ・イン・モンテ教会では、パトモスの聖ヨハネを描いたステンドグラスを制作し、特に円窓は彼の署名も入った傑作として知られています。

その他の作品

コッサの作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリーには聖人ビセンテ・フェレールの絵（1473年）、アルテ・マイスター絵画館には、かつてピエロ・デル・ポッライオーロの作品とされていた『受胎告知』（1470年）があります。また、ダービー近郊のロッコ公園には、フェラーラのエルコレ1世・デステの肖像であると考えられる鮮やかな横向きの肖像画が残されています。

まとめ

フランチェスコ・デル・コッサは、その革新的な表現と色彩感覚で、初期ルネサンス美術に大きな影響を与えた画家です。スキファノイア宮殿のフレスコ画をはじめ、彼の作品は、当時の芸術的動向を理解する上で貴重な資料となっています。


参考文献:
Encyclopedia of Artists, volume 2, edited by William H.T. Vaughan, ISBN 0-19-521572-9, 2000

外部リンク:
Web Gallery of Art

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