フリードリヒ2世 (オーストリア公)

フリードリヒ2世：波乱に満ちた生涯とバーベンベルク家の終焉

フリードリヒ2世（1211年 - 1246年）は、バーベンベルク家最後のオーストリア公として、その治世は多くの戦乱と政治的混乱に彩られました。「喧嘩公」と異名を取った彼の生涯は、オーストリア公国の命運を大きく左右し、その後の歴史に深い影響を与えました。

相次ぐ戦乱と国内外の混乱

1230年に父レオポルト6世の死によりオーストリア公位を継承しますが、その治世は最初から不安定でした。若年での即位は国内の貴族たちの反発を招き、クーエンリング家による蜂起が発生するなど、内政は混乱を極めます。フリードリヒ2世は、父のような卓越した政治手腕を持ち合わせておらず、国内の反乱こそ鎮圧したものの、積極的な対外政策は更なる混乱を招きました。

バイエルン公国、ハンガリー王国、ボヘミア王国など近隣諸国への度重なる侵攻は、いずれも失敗に終わり、国庫を疲弊させ、国民に重税を課すことになります。さらに、父の時代には良好な関係を築いていた神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世との関係が悪化し、領土の一部を帝国に没収されるという事態も招きました。

モンゴル帝国の侵入と更なる領土拡大の試み

1241年、モンゴル帝国によるハンガリー侵入（モヒの戦い）が始まると、フリードリヒ2世は混乱に乗じてハンガリー王国など近隣諸国へ侵攻し、領土の奪取を試みます。しかし、この行動は近隣諸国の反感を買い、国内の貴族や国民からも見放される結果となります。苦境に立たされた彼は、貴族たちに大幅な特権を付与することで、ようやく支持を取り付けるに至りました。

戦死とバーベンベルク家の終焉

1246年、ライタ川の戦いにおいて、ハンガリー王国とハールィチ・ヴォルィーニ大公国の連合軍との戦いで敗北し、フリードリヒ2世は35歳という若さで戦死します。彼には後継者がいなかったため、彼の死はバーベンベルク家によるオーストリア支配の終焉を意味しました。

死後のオーストリア

フリードリヒ2世の死後、オーストリアの支配権を巡り、様々な勢力が争うことになります。姪ゲルトルートと結婚したバーデン辺境伯ヘルマン6世とその息子フリードリヒ1世が相続権を主張しましたが、最終的にはフリードリヒ2世の姉マルガレーテと結婚したボヘミア王オタカル2世がオーストリアを領有します。しかし、1278年にオタカル2世が戦死すると、ローマ王ルドルフ1世がオーストリアを獲得し、以後、オーストリアはハプスブルク家の家領として、その歴史を歩むことになります。

フリードリヒ2世の遺体は、現在もハイリゲンクロイツ修道院に安置されています。彼の生涯は、中世ヨーロッパの政治的駆け引きと、一国の命運を左右する指導者の資質について、私たちに多くの教訓を与えてくれます。

まとめ

フリードリヒ2世は、その積極的な対外政策と国内の混乱により、「喧嘩公」という不名誉な称号を与えられました。彼の治世は、バーベンベルク家の終焉という形で幕を閉じましたが、彼の死後、オーストリアはハプスブルク家の領土となり、ヨーロッパの歴史において重要な役割を果たすことになります。彼の生涯は、中世ヨーロッパの政治情勢を理解する上で、欠かすことのできない重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索