フロリダ (戦艦)

アメリカ海軍戦艦「フロリダ」（USS Florida, BB-30）

「フロリダ」は、アメリカ海軍のフロリダ級戦艦の1番艦として、その名をフロリダ州にちなんで命名されました。本艦は、アメリカ海軍において同名を冠する5隻目の艦となります。

艦歴

1909年3月8日、「フロリダ」はニューヨーク海軍工廠で起工されました。1910年5月12日には、元フロリダ州知事の娘であるE. D. フレミングによって命名・進水。そして、1911年9月15日に初代艦長H. S. ナップ大佐の指揮下で就役しました。

就役後、「フロリダ」はカリブ海やメイン州沖での広範囲な訓練を重ねました。1912年3月29日にはハンプトン・ローズに到着し、大西洋艦隊第1艦隊の旗艦に就任。その後、航海訓練、艦隊演習、砲撃訓練、士官候補生の訓練巡航などを定期的に行い、東海岸の多くの港やカリブ海水域を訪れました。

1914年初頭のメキシコとの緊張が高まる中、「フロリダ」は2月16日にベラクルスに到着し、ベラクルス占領作戦中は同海域に留まりました。その後、7月にはニューヨークへ移動し、艦隊作戦に従事。10月には第2艦隊に配属されました。

第一次世界大戦にアメリカが参戦すると、「フロリダ」はチェサピーク湾での訓練を終え、第9戦艦部隊と共にイギリス海軍艦隊に合流するため出航。1917年12月7日にオークニー諸島のスカパ・フローに到着しました。艦隊演習や展開に参加し、第6戦艦部隊と共に船団護衛任務に終戦まで従事しました。1918年11月21日には、フォース湾へ抑留されるドイツ高速艦隊を護衛するための大艦隊の一部として参加しました。

終戦後、「フロリダ」はパリ講和会議に出席するウッドロウ・ウィルソン大統領が乗る輸送艦「ジョージ・ワシントン」を護衛し、12月12日、13日にフランスのブレストを訪問しました。12月後半には、ニューヨークのノース・リバーで行われた観艦式に参加し、1919年1月4日に平時活動に戻るためバージニア州ノーフォークに帰還しました。5月にはアゾレス諸島への巡航を行い、史上初の海軍機による大西洋横断のための気象観測にも貢献しました。

その後も「フロリダ」は、1920年8月のピルグリム・ファーザーズ上陸300年記念式典に参加し、ロバート・ランシング国務長官の南米およびカリブ海訪問にも使用されました。さらに、カリブ海での海兵隊の上陸作戦に参加したり、海軍兵学校の士官候補生の訓練巡航なども行いました。

1924年6月、「フロリダ」はドック入りし、1925年4月1日から1926年11月1日までボストン海軍造船所で近代化改装を受けました。この改装では、甲板装甲の強化、対水雷バルジの装着、副砲塔の再配置などが実施されました。また、4基のボイラーが石炭燃焼から重油燃焼に変更され、2本あった煙突は1本に統合されました。前方の籠マストはより低く近代化されたマストに変更され、3番及び4番砲塔後方に設置されました。16門あった45口径5インチ砲のうち、船体側面に装備されていた4門は撤去され、2門の21インチ魚雷発射管も撤去されました。

しかしながら、近代化改装後の「フロリダ」は数年の活動の後、1930年のロンドン海軍軍縮会議の結果、削減されることとなりました。1931年2月16日、「フロリダ」はフィラデルフィア海軍工廠で退役。1932年4月6日に除籍され、条約に基づき同工廠で解体されました。解体作業は1932年9月30日に完了しました。

「フロリダ」で使用された銀製食器一式は、現在フロリダ州知事公邸のステート・ダイニング・ルームで展示されています。また、艦内時鐘はフロリダ大学のベン・ヒル・グリフィンスタジアムで展示されています。

関連項目

アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク

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