フーズ・ミッシング

ザ・フーの秘蔵音源集『フーズ・ミッシング』

『フーズ・ミッシング』（Who's Missing）は、1960年代から70年代にかけて一時代を築いたイギリスのロックバンド、ザ・フーが1983年の解散後に発表したコンピレーション・アルバムです。1985年にアメリカでリリースされ、長らく日の目を見なかった貴重な音源が収録されていることで、ファンの間で話題となりました。

ザ・フーの軌跡

ザ・フーは、ピート・タウンゼント（ギター、ヴォーカル）、ロジャー・ダルトリー（リード・ヴォーカル）、ジョン・エントウィッスル（ベース・ギター、ヴォーカル）、キース・ムーン（ドラムス）という、個性的なメンバーで構成されていました。当初はザ・ハイ・ナンバーズという名前で活動していましたが、1965年にザ・フーとして再デビュー。1978年にキース・ムーンが亡くなった後も、ケニー・ジョーンズをドラマーに迎えて活動を続けましたが、1982年に解散を発表しました。

『フーズ・ミッシング』の内容

このアルバムには、1964年から1971年までの期間に録音された12曲が収録されています。内訳はオリジナル曲が7曲、カバー曲が5曲となっており、いずれもザ・フーの初期から中期にかけての勢いを感じさせる楽曲ばかりです。

特筆すべきは、未発表音源の存在でしょう。「バーゲン（Bargain）」のライブ録音、「リーヴィング・ヒア（Leaving Here）」、「ルビー (カム・バック・ホーム)（Lubie (Come Back Home)）」は、このアルバムで初めて公開されました。

また、「ワイルド・ボーイ（When I was a Boy）」、「ヘヴン・アンド・ヘル（Heaven and Hell）」、「ヒア・フォー・モア（Here for More）」、「ドント・ノウ・マイセルフ（Don't Know Myself）」、「アイム・ア・ボーイ（I'm a Boy）」（Original version）、「マリー・アンヌ（Mary Ann with the Shaky Hand）」（Original version）といった楽曲は、アメリカではアルバム未収録曲として収録されています。

カバー曲としては、「バーバラ・アン（Barbara Ann）」、「シャウト・アンド・シミ―（Shout and Shimmy）」、「エニータイム・ユー・ウォント・ミー（Anytime You Want Me）」などが収録されており、ザ・フーのルーツを探る上で興味深い内容となっています。

収録曲詳細

オリジナル
バーゲン（Bargain）(Live): アルバム『フーズ・ネクスト』収録曲のライブバージョン。1971年12月13日にサンフランシスコで録音。
ワイルド・ボーイ（When I was a Boy）: シングル『レッツ・シー・アクション』のB面。
ヘヴン・アンド・ヘル（Heaven and Hell）: シングルのB面。
ヒア・フォー・モア（Here for More）: シングルのB面。
ドント・ノウ・マイセルフ（Don't Know Myself）: シングルのB面。
アイム・ア・ボーイ（I'm a Boy）(Original version): 1966年8月録音のオリジナルバージョン。
マリー・アンヌ（Mary Ann with the Shaky Hand）(Original version): 1967年8月録音のオリジナルバージョン。

カバー
リーヴィング・ヒア（Leaving Here）: ザ・ハイ・ナンバーズ時代の録音。
ルビー (カム・バック・ホーム)（Lubie (Come Back Home)）: 1965年3月録音。
バーバラ・アン（Barbara Ann）: EP『レディ・ステディ・フー』収録。
シャウト・アンド・シミ―（Shout and Shimmy）: シングル『マイ・ジェネレーション』のB面。
エニータイム・ユー・ウォント・ミー（Anytime You Want Me）: シングル『エニウェイ・エニハウ・エニホエア』のB面。

まとめ

『フーズ・ミッシング』は、ザ・フーのファンはもちろん、60年代ロックに興味のある音楽ファンにとっても必聴のアルバムと言えるでしょう。彼らの初期の勢いと実験精神が凝縮された、まさに「掘り出し物」的な作品です。続編の『トゥーズ・ミッシング』と合わせて聴くことで、ザ・フーの音楽世界をより深く堪能できるはずです。

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