フータ・ジャロン

フータ・ジャロン：西アフリカの山地

フータ・ジャロンは、ギニア共和国の中西部からシエラレオネにかけて広がる山地です。フタ・ジャロン、フータ・ジャローとも呼ばれます。標高は平均900m、最高峰のローラ山でも1515mと、際立って高いわけではありません。しかし、その地理的な位置が、周辺の気候、水系、植生に大きな影響を与えています。

地理

フータ・ジャロンを境に、西側は森林ギニアと呼ばれる熱帯雨林が広がる一方、東側は上ギニアと呼ばれる乾燥した草原が広がっています。これは、フータ・ジャロンが分水嶺となっているためです。山地自体は、年間降水量が1500mm程度と多いものの、標高が高いため冬の間は乾燥したハルマッタン風の影響を受け、熱帯雨林は発達せず、草原が広がっています。気候はサバナ気候に属します。

フータ・ジャロンは、西に流れる川がギニア湾へ注ぎ込む分水嶺であり、ガンビア川の源流もここにあります。東に流れる水は、セネガル川やニジェール川の支流となり、これらの大河の重要な水源となっています。地形は険しくはないものの、谷は深く、急流や滝も多く見られます。

歴史

フータ・ジャロンの主な住民は、牧畜民であるフラニ人（地元ではプール人と呼ばれます）です。彼らは10世紀頃にこの地に移住し、フラニ語を話します。1725年には、フラニ人によってフータ・ジャロン王国が建国されました。この王国は、18世紀から19世紀にかけて西アフリカで展開されたフラニのジハードの先駆けとなり、イスラムの教えに基づいた国家運営を行いました。君主はアルマミと呼ばれ、アラビア語のイマームに由来する称号を用いていました。王国は1897年にフランスに侵略されるまで、独立を保ち続けました。

産業

フータ・ジャロンは、広大な草原が広がり、牧畜に適した環境であるため、牧畜が主要な産業です。また、農業も盛んであり、フォニオや米などの穀物、バナナや果物などの換金作物が栽培されています。中心都市はラベです。

人口過剰な地域であるため、落花生の収穫などの季節労働者として、近隣のセネガルやシエラレオネへ出稼ぎに出る人々も多くいます。

フータ・ジャロンは、その地理的特性、豊かな自然、そして歴史的な背景から、西アフリカにおいて重要な地域となっています。

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