ブラックタイアフェアー

ブラックタイアフェアー：遅咲きの王者とその血脈

ブラックタイアフェアーは、アイルランドで生まれ、アメリカで競走生活を送ったサラブレッドです。晩成型の競走馬として知られ、4歳時までは目立った活躍はありませんでしたが、5歳時にブリーダーズカップ・クラシックを制覇するなど、華々しい成功を収めました。

遅咲きの成功物語

初期の競走生活では、スプリントからマイルの距離で活躍していましたが、目立った勝利には恵まれませんでした。4歳時までにはG3競走を1勝したのみで、将来を嘱望されるような活躍はできていませんでした。古馬になっても、G3競走では好成績を残すものの、G1競走では結果を残せず、一線級の競走馬とは言い難い状況が続きました。

転機は、ブリーダーズカップ・スプリントへの出走でした。10番人気と低評価でしたが、上位を争う好走を見せ3着に食い込みました。このレースで、短距離戦だけでなく、中距離戦への適性も秘めていることが示唆されました。

その後、距離10ハロン（約2000m）のG2バドワイザーゴールドカップで優勝。中距離路線への転向を決意し、連勝街道を歩み始めます。G2スティーヴンフォスターハンデキャップから4連勝を果たし、デビュー43戦目にしてG1フィリップ・H・アイズリンブリーダーズカップハンデキャップで初G1制覇を飾りました。さらに連勝を重ね、迎えたブリーダーズカップ・クラシックでは、2番人気に支持されながら、1番人気フェスティンや前年優勝馬アンブライドルドらを破り、見事優勝。6連勝でアメリカ競馬の頂点に立ちました。45戦目でのブリーダーズカップ・クラシック制覇は、当時史上最遅の記録でした。

翌年1月には、エクリプス賞年度代表馬および最優秀古牡馬に選出され、競走生活に幕を閉じました。

種牡馬としての活躍と引退

種牡馬となったブラックタイアフェアーは、初年度産駒からG1競走2勝馬フォーマルゴールドを輩出するなど、成功を収めました。2年目産駒には日本に輸入され活躍したワシントンカラーもいます。この活躍を受け、ブラックタイアフェアー自身も1998年に日本へ輸入され、北海道のイーストスタッドで繋養されました。しかし、産駒の成績が伸び悩んだため、2004年にはアメリカへ再輸出。2002年生まれのフジノウェーブが2007年のJBCスプリントを制覇するなど、晩年になってもその血脈は輝きを放ちました。

2009年7月に種牡馬を引退し、ケンタッキー州ジョージタウンのオールドフレンズで余生を送っていましたが、2010年7月1日、蹄葉炎のため安楽死されました。

ブラックタイアフェアーの主な産駒

ブラックタイアフェアーは、数々の優秀な産駒を残しました。代表的な産駒には、以下のような馬がいます。

フォーマルゴールド (Formal Gold): ドンハンデキャップ、ウッドワードステークスなどG1競走2勝を含む重賞4勝。
ワシントンカラー (Washington Color): 根岸ステークス連覇など活躍。
License Fee: ビューゲイハンデキャップ、ギャロレッテハンデキャップなど重賞4勝。
フジノウェーブ (Fujino Wave): JBCスプリント優勝。
* その他: Evening Attire、グレイスアッパー、サンキョウフェアー、オリジナルステップ、レイナワルツ、ジョインアゲン、ナリタブラック、ホリエモン、アプローチアゲンなど。

さらに、ブルードメアサイアー（母父）としても、Mastercraftsman（アイリッシュ2000ギニー、セントジェームズパレスステークスなどG1競走6勝）など、多くの活躍馬を輩出しました。

結論

ブラックタイアフェアーは、競走馬として、そして種牡馬として、競馬界に多大な貢献を果たしました。晩成型でありながらも、頂点に上り詰めたそのストーリーは、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けています。その血統は、現在も世界中で受け継がれ、輝きを放ち続けています。

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