ブラック・サバス4

ブラック・サバス4 (Black Sabbath Vol. 4) 解説

ブラック・サバス4は、1972年にリリースされたブラック・サバスの4枚目のアルバムです。ヘヴィメタルの先駆者としての彼らの音楽性をさらに進化させ、実験的なアプローチを取り入れた作品として知られています。

制作の背景

1972年6月、ブラック・サバスはロサンゼルスのレコード・プラント・スタジオに集まり、4枚目のアルバム制作を開始しました。しかし、レコーディングは順調には進みませんでした。メンバーの薬物乱用が深刻化し、制作に大きな影響を与えたのです。

特に、ドラマーのビル・ワードは「コーニュコピア」のレコーディング中にバンドからの解雇を宣告されかけました。彼は曲自体に嫌悪感を抱き、その感情をあらわにしたところ、他のメンバーから無視されたというのです。まるで「用済み」と言われたように感じたと、ビル・ワードは後に語っています。

音楽性と歌詞

ブラック・サバス4は、バンドがヘヴィなサウンドに新たな試みを取り入れ始めたことを示す作品です。「スーパーナート」や「コーニュコピア」といった楽曲は、彼らの特徴的なスタイルを維持していますが、一方で「チェンジス」のように、よりソフトでオーケストラ的なアプローチを見せる楽曲も収録されています。

「チェンジス」は、トニー・アイオミが作曲したピアノ・バラードで、全編にわたってメロトロンが使用されています。ブラック・サバスが以前にも曲中でピアノを使用したことはありましたが、それはあくまで控えめな役割でした。

「スーパーナート」は、トニー・アイオミによるラウドでヘヴィなリフと、ビル・ワードのパワフルなパーカッションが特徴的な楽曲です。歌詞は宇宙探検をテーマにしており、オジー・オズボーンとギーザー・バトラーによって書かれた、典型的なブラック・サバスの歌詞と言えるでしょう。

ギーザー・バトラーの影響は、ブラック・サバスの多くの楽曲に見られる「私は1000年も（1000回も）生きてきた」というモチーフによく表れています。

また、このアルバムにはコカインの使用について言及した楽曲が少なくとも2曲収録されています。「スノウブラインド」はその代表例で、当初アルバムタイトルも「スノウブラインド」にする予定でしたが、レコード会社の判断で変更されました。これは、アメリカ市場での論争を避けるための措置でした。

「スノウブラインド」のオリジナルバージョンでは、オジー・オズボーンが各コーラスの終わりに「コケイン！」と叫んでおり、再レコーディングを余儀なくされました。公式リリース版では、1番が終わった後（曲の開始から約41秒後）に「コケイン」という囁き声が聞こえます。「セント・ヴィタス・ダンス」も、コカイン使用について歌った楽曲です。

アートワーク

アルバムジャケットには、ブラック・サバスのコンサート中に撮影された、両手を上げたオジー・オズボーンの写真が使用されています。オリジナルリリースでは、見開きジャケットの中にメンバーそれぞれの写真が掲載されたページが挟み込まれていました。

このアルバムジャケットは、ピースヴィル・レコードのコンピレーション・アルバム「ピースヴィル・ヴォリューム4」や、スリープのEP盤「ヴォリューム2」などでパロディされています。

また、ブラック・サバス4のライナーノーツには、「偉大なるCOKE-Colaカンパニーへ」という感謝の言葉が記されています。これは、ドラッグへの言及を巧妙に隠した表現です。当時、ギーザー・バトラーは自身の白いベースに「Enjoy CoCaine」と書かれたステッカーを貼っていました。

リリースと評価

ブラック・サバス4は1972年9月にリリースされ、当時の批評家からは酷評されましたが、1ヶ月も経たないうちにゴールドステータスを獲得し、アメリカで100万枚を売り上げた4枚目のアルバムとなりました。「トゥモロウズ・ドリーム」はシングルカットされましたが、チャートインは果たせませんでした。

アメリカでの大規模なツアーの後、1973年には初のオーストラリアツアーを行い、その後ヨーロッパでもツアーを行いました。ブラック・サバスは1973年、イギリスの音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」にも出演し、エンゲルベルト・フンパーディンクやダイアナ・ロスと共演しました。

2000年6月、Qマガジンは本作を「The 100 Greatest British Albums Ever」の60位に選出しました。フランク・ザッパは収録曲「スーパーナート」を気に入り、そのリフを絶賛しています。

収録曲

1. ウィールズ・オブ・コンフュージョン / ザ・ストレイテナー
2. トゥモロウズ・ドリーム
3. チェンジス
4. FX
5. スーパーナート
6. スノウブラインド
7. コーニュコピア
8. ラグナ・サンライズ
9. セント・ヴィタス・ダンス
10. アンダー・ザ・サン / エヴリ・デイ・カムズ・アンド・ゴーズ

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