ブラッシンググルーム

ブラッシンググルーム：競走馬から伝説の種牡馬へ

ブラッシンググルーム (Blushing Groom, 1974-1992) は、フランスで生まれ、競走馬として、そして種牡馬として、サラブレッドの歴史にその名を刻んだ伝説的な馬です。

その名は「赤面する花婿」を意味し、母馬であるRunaway Bride（逃げた花嫁）に由来する、ロマンチックな響きを持っています。小柄ながら（体高約155cm）、類まれな競走能力を備えていたブラッシンググルームは、競走馬時代、数々の偉業を達成しました。

華麗なる競走馬時代

1974年、ニューマーケットのタタソールズイヤリングセールで高額で落札されたブラッシンググルームは、フランスの調教師フランソワ・マテのもとで競走馬としてのキャリアをスタートさせました。特に2歳時は圧倒的な強さを誇り、ロベールパパン賞、モルニ賞、サラマンドル賞、そしてグランクリテリウムと、フランスの2歳G1競走をすべて制覇するという快挙を成し遂げました。これは1970年のマイスワロー以来の記録であり、その才能の高さを見せつけました。

3歳になってもその勢いは衰えず、フォンテンブロー賞（G3）を含む7連勝を記録。その後、エプソムダービーでは3着と惜しくも連勝は途切れたものの、ジャック・ル・マロワ賞で2着に入るなど、トップクラスの競走馬として活躍しました。その後、現役を引退します。

種牡馬としての成功

引退後、ブラッシンググルームは626万ドルのシンジケートを組まれ、アメリカ合衆国ケンタッキー州のゲインズウェイファームで種牡馬としての新たなキャリアを歩み始めます。

自身はマイラータイプでしたが、その産駒は中長距離でも活躍するものが多く、世界中にその名を轟かせる名馬を数多く輩出しました。

代表的な産駒には、凱旋門賞優勝馬レインボウクエスト、エプソムダービー優勝馬ナシュワン、2歳でカルティエ賞年度代表馬に輝いたアラジなど、G1競走を制した馬が24頭にも上ります。さらに、その孫世代にもブリーダーズカップ・クラシックやドバイワールドカップを制したインヴァソール、凱旋門賞優勝馬バゴなどがおり、その遺伝子の強さを証明しています。

日本においても、ブラッシンググルームの血統は大きな影響を与えました。サクラローレル、マチカネフクキタル、アブクマポーロ、ビッグウィークといった名馬がその父系子孫にあたり、日本の競馬界に貢献しました。

ブルードメアサイアーとしての卓越性

ブラッシンググルームは、ブルードメアサイアー（母方の父）としても優れた成績を残しました。海外ではラムタラ、オーサムアゲイン、ゴルディコヴァといった名馬を輩出し、日本ではマヤノトップガン、テイエムオペラオーなど、数々の名馬を生み出しました。その功績から、1988年と1995年には英愛リーディングブルードメアサイアーに輝いています。

血統と一族

ブラッシンググルームの4代母はファルマスステークス勝ち馬のEclair。全兄には日本で種牡馬生活を送ったベイラーンがいます。半妹には、アグネスデジタルやシェルゲームの祖となるAllicanceや、アイルトンシンボリの祖となるBold Escapeなどがいます。

ブラッシンググルームは、競走馬としての輝かしい成績、そして種牡馬、ブルードメアサイアーとしての絶大な成功により、サラブレッドの歴史に不滅の足跡を残した偉大な馬と言えるでしょう。その血統は、現代競馬においてもなお、その影響力を持ち続けています。

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